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免許返納は「死活問題」 池袋事故で増加も公共交通少なく 地方の高齢ドライバー(上)/兵庫・丹波地域

6/2(日) 7:02配信

丹波新聞

 東京・池袋で4月、87歳の老人が運転する車が暴走し、母子2人が死亡した事故を受け、全国的に高齢者の運転免許の自主返納が増加している。高齢者が多く暮らす地方部でも増加傾向にある一方で、公共交通網が発達しておらず、買い物や病院など、どこに行くにも基本的に車のため、「免許を返せば生きていけない」のが実情。中には認知症の人が運転しており、地域住民などが危険性を感じていながらも返納を強制できず、救済策もないため、放置するしかないケースもある。関係者は「地方が抱える社会問題。目の前に危険があるが、根本的な解決方法は誰にもわからない」。地方の高齢ドライバーを取り巻く現状を追った。

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認知症高齢者の原付に冷や汗

 「東京の事故はひどかったなぁ。私らも免許返したほうがいいと思うんやけど、返したら何にもできひんから」―。兵庫県丹波篠山市東部の畑で農作業中の85歳の女性がつぶやいた。

 女性は87歳の夫と2人暮らし。息子は都市部で暮らしている。夫は認知症を患っているが、数年前まで軽トラックに乗り続けていた。女性が免許返納を勧めたが、「わしは大丈夫や」と言って聞かなかった。

 そこで女性は一計を案じた。夫の免許を隠して更新させず、”自然消滅”させた。その後はどこに行くにも女性が車を運転し、助手席に夫を乗せている。

 最寄りのスーパーマーケットまで車で20分。市営のバスは走っているが、1日3本のみ。「バスは乗ったことない。やっぱり車やないと不便や」。そして、「私もいつまで運転できるか。2人ともあかんようになったらどないしよ」

 別の集落では、住民が毎日、冷や汗をかいている。地域で暮らす独居の90歳代の男性が原付バイクにまたがって出かけていくからだ。男性は認知症で、家族のこともわからない。

 男性もかつては車に乗っていたが、離れて暮らす息子が取り上げた。それでも買い物に行かないと生きていけない。インターネットは無論のこと、共同購入などの方法も理解が難しいため、原付だけは残した。

 近くで暮らす男性は、「怖い運転で、いつ事故になるかとヒヤヒヤしている。単独ならまだいいが、人を巻き込んだら大ごと。けれど、家族でもないし、何も言えない」

 別の集落の84歳と78歳の夫婦は、運転技術の衰えを自覚しており、「ゆっくり走ること」を心がける。妻は、いつも頭の中で「真ん中がブレーキ」と思って走っているという。

 ともに免許を返すつもりはない。夫は、「東京のど真ん中はとてもじゃないけど無理だが、このあたりは交通量が少ないからまだ乗れる。せやけど気を付けなあかんと思ってるで」と話す。

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最終更新:6/2(日) 10:05
丹波新聞

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