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「GAFA vs トヨタ」? バーチャルとリアルの戦いの実相

6/2(日) 18:30配信

THE PAGE

[映像]5月8日の決算説明会の後に行われた豊田章男社長による事業説明スピーチ

 「コネクティッドシティ」「バーチャルとリアル」そして「仲間づくり」――。トヨタ自動車の豊田章男社長は5月8日の決算説明会の場で、就任10年を振り返りながら、自身が掲げる「モビリティカンパニー」への移行へ向け、新しいキーワードを口にしました。抽象度の高いこれらの言葉は何を意図するのか。モータージャーナリストの池田直渡氏が3回連載で読み解きます。最終回の第3回は「バーチャルとリアル」です。

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どこまでバーチャル化できるかの競争

 ビジネスパーソンであれば、現在「GAFA(ガーファ)」(Google、Apple、Facebook、Amazon=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の躍進が顕著であり、むしろグローバルには彼らによるビジネスの寡占が問題視されていることは頭に入っていると思う。

 これらの企業の特徴は、エンドユーザー向けにwebインターフェースを提供しており、かつそれがさまざまなサービスの入り口として圧倒的な数のユーザーに日常的に利用されていることである。

 グーグルであれば検索エンジンを筆頭とする連絡先や地図、クラウドなどのサービス。アマゾンであればEコマースと開発者サイドのクラウド。フェイスブックはSNS、アップルはiPhoneとiOSがそのインターフェースになるだろう。

 少し乱暴な言い方になるかもしれないが、これらの企業は、販売店舗などのリアルなサービスネットワークを最小化することで急速に発展してきた。ネット上を行き交う情報を武器としてビジネスを戦っている。

 意外かもしれないが、前回の記事に書いた「北前船」繁栄の理由の一つは「情報の非対称」だった。情報網が未発達な江戸期において、米や塩や肥料がどこでどんな値段で流通しているかを把握しているのは港港を巡る北前船の船頭だけだったのである。明治に入り、電信(電報)が発達すると、船頭たちは情報を寡占できなくなった。多くのコンペティターが安い地域で仕入れて高い地域で売ろうとする。その結果、地域による商品価格差が減少して、商いが縮小していったことも北前船衰退の原因だった。逆に言えば、北前船もある一面ではバーチャルビジネスであったということになる。

 バーチャルな世界で最も重要なのは、この「情報」で、例えばグーグルの場合「検索」というバーチャルなサービスを、ユーザーが入力する情報などを対価にすることで、金銭的には無償提供するビジネスであり、ほぼ完全にリアルサイドを必要としない。

 アマゾンは少し様子が異なる。より早く、より多くの商品を届けるためには、リアルなロジスティック・センターが必要だ。リアルな製品を在庫し、発送するためである。顧客に来てもらえる距離と、配達できる距離の差分を軸に、従来の小売店より拠点数を大幅に絞って、商圏を拡大したビジネスであり、従来の小売ビジネスが圧倒的にリアル寄りだったところから、可能な限りバーチャル寄りにプロットし直したビジネスだと言える。

 世の中には無数のビジネスがあるが、ここしばらく行われてきた競争は、それらの商品やサービスを提供するプロセスを、どこまでバーチャル化できるかの競争であった。しかしながら、それがあまりにも極端に理解された結果、「プラットフォームで負けたら滅びる」と理解されているように思う。

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最終更新:6/4(火) 22:37
THE PAGE

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