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ふわりと浮かぶ気球を使って宇宙の謎を探る

6/3(月) 14:12配信

サイエンスポータル

 活動している天体は、その特徴に応じていろいろな電磁波を出している。表面温度が6000度くらいの太陽は、おもに可視光を出している。活動が激しくて温度が1000万度以上になるような天体は、エネルギーが高いエックス線をさかんに放出する。エックス線や、それよりややエネルギーが高い硬エックス線には、物を突き抜ける(透過する)性質があるため、観測が難しい。そのため、可視光に比べると観測手法の研究があまり進んでいない。だがこれは、そこにはまだ宇宙の謎を解く鍵がたくさん眠っているということでもある。

硬エックス線の偏光で天体の活動が詳しくわかる

 いま高橋さんらが取り組んでいるのは、硬エックス線の観測だ。エックス線より大気に吸収されにくく、観測しやすいからだ。その硬エックス線の「偏光」をとらえようとしているのだ。

 可視光やエックス線などの電磁波は、その「電気的な成分」と「磁気的な成分」が縦横に振動しながら進んでいく。ふつうは、さまざまな縦横の向きに振動している波が混じっているのだが、これが一方向にそろっているもの、一方向にだけ振動しているものを「偏光」という。身近な例がサングラスだ。釣りをするときサングラスをかけると、水面のギラギラが抑えられて水中がくっきり見える。これは、特定の振動方向の光だけを通す「偏光板」でつくったサングラスが、水面で反射してくる光の振動成分をカットしてしまうからだ。

 かに星雲からやってくる硬エックス線の振動が、ある特定の向きに限られているならば、すなわち、偏光した状態でやってきているならば、それは、かに星雲の中心にある中性子星の性質を解明する大きな手掛かりになる。

 地球の周りには「磁場」ができている。その磁石としての性質は、北極をS極、南極をN極とする巨大な棒磁石が地球内部を貫いているのと同じ状態だ。地表で方位磁石が南北を指すのは、この磁場から力を受けているからだ。

 かに星雲の中心にある中性子星にも、同じような磁場がある。硬エックス線が振動する向きは、この磁場のでき具合と関係があるので、どのように偏光しているかを観測できれば、そこから中性子星の磁場の具体像を推定できる。その結果と、他の観測や、コンピュータシミュレーションによる理論的な研究を組み合わせることで、かに星雲の中性子星の詳細が明らかになり、「激しい天体活動」の実態を解明することにつながると期待されている。

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最終更新:6/3(月) 14:15
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