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「外国人労働者受け入れ、もっと長期的に見て」パソナグループ南部代表 独占インタビュー(後編)

6/4(火) 14:53配信

東京商工リサーチ

-外国人労働者の受け入れ緩和が叫ばれている
 人手不足が深刻化している状況は理解できるし、喫緊に解決すべきことだと思っている。しかし、安易に外国人労働者を数十万人単位で受け入れる、という政府の発表には時期尚早の印象を受けた。“外国人労働者”と柔らかい表現で言い換えられてはいるが、いわゆる“移民政策”と何が違うのか。国家のあり方に関する問題をこんな早急に決議して良いのか疑問だ。もっと長期的な視点に立って向き合うべき。目先の問題だけを見るのではなく数年単位の長いスパンで判断すべきことだ。

-外国人労働者受け入れで、とくに懸念していることは?
 国内の外国籍人材と国内の求人数の需給バランスの問題だ。国内の大学・専門学校を卒業する外国人で(不足する)労働力を充足できるという見方もある。数十万人単位で労働者を外国から新たに迎え入れようという動きがある中で、日本には同様に数十万にのぼる外国人留学生が在籍している。彼らの中には、日本の学校を卒業すると同時に、日本で仕事に就くことができないために母国に帰っていく人も相当数いるという現実がある。せっかく母国を離れ日本語を学んだにも関わらず、それをうまく活かしきれていない。彼らの就業機会の創出などにもっと目を向けるべきだ。

-日本が外国人労働者の受け入れを一斉に行う際に、想定される問題は?
 食事や宗教など暮らしの面もあるかと思うが、やはりセーフティーネットの早期構築が欠かせない。外国人労働者を受け入れるとなれば、日本人と同様に同一労働同一賃金など雇用環境の整備も必要とされる。労働政策と入管政策は所管官庁をまたぐ問題。様々な法制度の整備が必要だ。さらに、日本での雇用期間の終了後に、彼らが日本で培った技術を母国で発揮するためには、「どこの企業でどういう業務に携わったのか」を相手国へ日本側が明確に示さなければならない。失業保険など、彼らが日本で安心して働くには、他の問題もあるだろう。
 技術と言語の問題も大きい。言語が困難でも熟練した技術を持つ人、一方で技術に関しては未経験だが、日本語の理解力が高い人。国、企業で言語、技術の習熟度をどう線引きして評価するのかも複雑になる。

-業種によって従業員の充足感が異なる。雇用の流動性に対する考えは?
 まず、人手不足が喫緊で最も厳しいのは建設業界。次いで介護。IT関連もずっと不足している。
雇用の流動性に対しては、例えばITの分野であれば、一様に海外の人材を日本に呼び込むのではなく、“海外へ(労働の)委託をする”という流れが必要だ。労働市場もEUと同じように、アジア全体で人材を融通できれば、不足する地域の労働力を補うことができる。アジアだけで難しいのであれば、オセアニアも含めても良い。例えば、韓国で人材に少し余裕のある状態で、日本国内で人手が逼迫しているのであれば、韓国から日本へ期間を決めて迎え入れる。そして任期が満了したら、また不足する地域で力を発揮してもらう。

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最終更新:6/4(火) 15:01
東京商工リサーチ

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