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【千葉魂】変わる守備位置、変わる景色 鈴木、思い出した感覚

6/4(火) 11:47配信

千葉日報オンライン

 ポジションが変わると見える景色も変わる。鈴木大地内野手は5月29日のファイターズ戦(札幌D)でプロ入り後、初めてレフトでスタメン出場をした。昨年、サードのレギュラーとして活躍したが今季は新外国人としてファイターズからブランドン・レアード内野手を緊急補強。チーム方針から内野を転々とした。サードからファースト。そしてDH。セカンド、ショートを守ったこともあった。そしてこの日、角中勝也外野手が左大腿(だいたい)直筋肉離れで離脱。チームの緊急事態の中、スクランブル起用となった。

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 「外野を試合で実際に守るのは中学2年の春以来だと思います。急な話だったので、外野手からグラブを借りて出場しました」

 試合前練習の時に出場を指示され、清田育宏外野手からグラブを借りての緊急出場。しかし、鈴木には心の準備があった。開幕スタメンを外れた時から、どこでも守れるようにと外野の練習をこなしてきた。「チャンスがあればなんでもモノにしたい」。その気持ちから内野のあらゆるポジションはもちろん、可能性はゼロではない外野にもチャレンジしていた。試合に出るために必死だった。

 「今年はオフの時からいろいろな事を考え、想定していた。だからここまで起きていること、置かれている状況はある意味、想定をしていたことです。心の備えがあったので、どんなことも動揺をせずに対処できている」

 鈴木は笑顔でそう話す。だから急きょ、レフトを守る事になった試合も冷静に対処できた。守備機会こそなかったが、落ち着いて守りに入っていた。外野から見える景色、そして音はいつもと違い新鮮だった。

 「内野と外野ではこんなに見える景色と聞こえる音が違うのだなあと感じました。特に外野応援席と近いのでトランペットや太鼓をたたく音、ファンの皆さまの選手への応援の一つ一つがはっきりと耳に入ってくる。それは新鮮な感覚でした」

 今まで守ったことがないポジション。だからこそ、いつも以上に集中をした。そんな時間の中で不思議な感覚に陥っている自分に気が付いた。ファンの声が鮮明に耳に入る。あたかも観客席の中に入っているのではないかと錯覚をしてしまうような感覚だった。守りながら、ふと今、自分がプロ野球の選手である幸せを想(おも)った。不思議な気持ちだった。

 「突然なのですけどね。子供の時にスタンドからプロ野球を見て憧れていたあの時の感覚を思い出しました。とりわけ肩も強くなく、足も速いわけでもない。打撃がいいわけでもない自分にとって夢のまた夢のような世界だった。そこに今、本当に自分がいる。『ああ、オレ、プロ野球選手をやっているんだ』と守りながら、ふと考えてしまいました」

 定位置ではない不慣れなレフトの守備。いつもより遠くにある打席を見つめていたその瞬間、子どもの時に夢にまで見たプロの1軍の舞台でスタンドからファンの声援を受けながら立てている自分の幸せを改めて実感をすることができた。それはなんとも不思議な体験だった。

 「周りの人は『ポジションが変わったりして大変だね』とかよく言われます。でも自分としてはやることが変わるだけで特にそんな気持ちはない。試合に出ることができれば、それでいいです」

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 4月9日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)でサヨナラ打。そして4連敗の崖っぷちで迎えた6月1日のライオンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)では延長十回に左中間を真っ二つに割るサヨナラで試合を決めた。選手会長として打線のキーマンとしてチームを引っ張り続けている。

 それでも鈴木は一喜一憂をすることはない。「今日、結果が出たからと言って明日はどうなるか分からない。だから毎日が必死。頑張ります」。初めて守った外野のポジションで今まで見た事がない景色が見えたように、これからどんな体験が待っているかは分からない。ただ、その日々を悔いなきように必死に生きるだけ。それが背番号「7」の決意、ポリシーだ。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:6/4(火) 11:47
千葉日報オンライン

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