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【1人で死ね論争】ダウンタウン松本の“不良品”発言に警告

6/5(水) 11:13配信

東スポWeb

 ダウンタウンの松本人志(55)の発想は「ナチスの優生思想に近い」――。「引きこもり」にかかわる事件が続いたことで、「他人を巻き込むなら自分1人で死ね」という世論が席巻している。川崎20人殺傷事件の岩崎隆一容疑者(51)は幼い子供たちを切りつけたあと自害。「1人で死ね」の大合唱となった。著名人らが肯定的な一方で、論争の当事者であるNPO法人ほっとプラス代表理事で、聖学院大学客員准教授の藤田孝典氏は本紙の単独直撃に応じ「松本さんの発言はナチスの思想に近い」と真っ向反論した。

 5月28日早朝に川崎市で小学生女児らの大量殺傷事件が起きると、落語家の立川志らく(55)は「ひるおび!」(TBS系、午前10時25分~)で「死にたいなら1人で死んでくれよ」とコメント。直後に藤田氏は「川崎殺傷事件『死にたいなら1人で死ぬべき』という非難は控えてほしい」という記事をネットに投稿した。1人で死ねという非難ではなく、「困っていたり、つらいことがあれば、社会は手を差し伸べる」というメッセージこそが類似の事件を防ぐことになるという内容だ。

 事件が起きたばかりというタイミングだけに、藤田氏の記事は反響を呼び大論争となった。

 同日、「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系、午後1時45分~)に出演した安藤優子キャスター(60)も「もし社会に不満を持っている犯人像であれば」とした上で、「社会全てを敵に回して死んでいくわけですよね。だったら、自分1人で自分の命を絶てば済むことじゃないですか」と怒りをにじませた。

 著名人たちの発言は止まらない。

 松本人志は、2日放送の「ワイドナショー」(フジテレビ系、午前10時~)で「人間が生まれてくる中で不良品が何万個に1個あるのはしょうがないと思うんですよ。それを何十万個、何百万個に1個に減らすことはできるのかな、と思う。正直、こういう人たちは絶対数いますから。その人たち同士でやり合ってほしいですけどね」と話していた。

 のちにツイッターで「凶悪犯罪者は人として不良品。ひきこもりが不良品?誰の意見?」と引きこもりが不良品と言ったのではないと強調した。

 橋下徹元大阪市長は2日の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系、午前7時30分~)で「やむにやまれず自分の命を絶つときは他人を犠牲にしてはならない。ちょっと言い過ぎかも分からないけど死に方というところを教育することが重要」と述べていた。

 藤田氏は「松本さんの発言はナチスの優生思想に近い。人間は後天的な教育や環境によって性格や行動様式が形成されていく。『生まれつき不良品なんだ』というのは恐ろしい考え方です。橋下さんについては死に方の教育ではなく、死ぬ前に相談できる状況にすることが大事です」と警鐘を鳴らす。

「1人で死ね」論争は拡大するばかり。著名人が賛同することで肯定する世論に傾きがちだ。

「著名人の方たちは社会的強者で、引きこもり問題は本人や家族の努力でどうにかなるものだと思っているのでしょう。そこに自己責任社会が重なっている。自分のことは自分でやる、社会に頼るのは悪いことだという価値観ですね」(藤田氏)

 自己責任社会を象徴するような事件も起きた。

 1日に元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)が、引きこもりがちで家庭内暴力を振るっていた44歳の長男を刺殺。熊沢容疑者は川崎殺傷事件を受けて、「長男が人に危害を加えるかもしれないと思った」と供述している。熊沢容疑者が「1人で死ね」論争を知っていたかは分からない。しかし「親はプレッシャーに感じていたでしょう。家族でちゃんと引きこもりの面倒を見ろよと。社会が『1人で死ね』となると、誰にも頼っちゃいけないと感じる。親も孤立していく」と藤田氏。

 同氏に対しては「加害者に寄り添うのか」との批判もあるが、「なぜ事件を起こしたのか。加害者の背景を考えることが必要です」と真意を説明する。では引きこもり問題に悩む親たちは、どうしたらいいのか。

「引きこもりに悩む人たちの家族会があります。まずはそこに相談することで引きこもりの理解が進む。そうすれば引きこもる本人にとっても自分のことを理解してくれる家族ができる。相互理解が大事です」(藤田氏)

 誰かに相談できる環境をつくり、広めることが負の連鎖を断ち切ることになる。

【SNSで論争に発展】ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどソーシャルメディアの発達で意見や情報の発信がしやすくなったことから、著名人が世相やゴシップに関して自説を主張し、論争に発展することは珍しくなくなった。

 社会的な関心事で言えば昨秋、シリアで武装組織に拘束されていたジャーナリストの安田純平氏が解放された際の「自己責任」問題が記憶に新しい。

 ネット上で自己責任に絡めた安田氏バッシングが起こる中、メジャーリーグ・カブスのダルビッシュ有投手は「ジャーナリストが現地にいるだけで、非人道的な殺戮はだいぶ抑制できている」などとして、現地取材の重要性をツイッターで訴えた。

 一方、結果的に拘束されたことに対しては批判的な意見も。ビートたけし本紙客員編集長はレギュラー番組で、「この人は失敗したんじゃないの?」と指摘。松本人志もテレビで、解放を喜ぶのは当然としつつも「個人的にたまたま道で会ったら、ちょっと文句は言いたいと思います」と述べた。この件では、高須クリニックの高須克弥院長やZOZO社長の前澤友作氏、サッカー元日本代表の本田圭佑ら多数が“参戦”。ネット社会を象徴する現象でもあった。

最終更新:6/5(水) 12:39
東スポWeb

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