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ファーウェイの次に狙われる? 中国の「監視」を支えるあの企業

6/6(木) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 米中貿易摩擦の出口が見えない。

 現時点で注目すべきは、6月28、29日に開催されるG20(金融・世界経済に関する首脳会合)大阪サミットで行われる予定のドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談だ。G20までに出てくる話も、米中双方からの駆け引きのための動きと捉えていいだろう。

【ハイクビジョンの監視カメラ製品】

 最近大騒ぎになったのは中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国による措置。つい先日、トランプ大統領が「大統領令13873」に署名し、米商務省がファーウェイと関連企業70社を「エンティティーリスト」という“ブラックリスト”に加えたことで、事実上ファーウェイが米国に出入り禁止となった。この措置によって世界中の政府や企業が対応に追われており、文字通り、世界を揺るがしている。

 そんな状況の中、米国が次なる対中措置を行う可能性が高まりつつあるとして、関係者らを緊張させている。

 今度の標的は、中国が誇る「監視技術」である。その中心にいるのは、浙江省杭州市の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)。監視カメラ市場で世界シェアトップを誇るグローバル企業だ。そのハイクビジョンが、ファーウェイと同じく、米商務省のブラックリストに加えられそうだとうわさされている。

 ハイクビジョンの何が問題なのか。そして、同社がブラックリストに入ることで、世界にどんなインパクトをもたらすことになるのだろうか。

ハイクビジョンの世界シェアは2割

 ハイクビジョンの監視カメラは、すでに世界各地で広く導入されている。例えば、インフラ施設や市街地、商業施設、イベント会場、アミューズメント施設、教育施設、医療関係施設、宿泊施設、空港などだ。2017年に世界シェアの21.4%を占めていると報じられている。

 同社の資産は17年時点で320億ドル。米ブルームバーグによれば、23年までにさらに16%も成長すると予測されている。

 米国ではカジノや大学、娯楽施設などにも同社の監視カメラシステムが導入されており、英国ではロンドン地下鉄に設置されている。その他、カナダ、ドイツ、イタリア、デンマーク、ハンガリー、ロシア、シンガポール、ニュージーランド、チェコ、韓国、ベトナム、フィリピン、パキスタン、ブラジル、アルゼンチン、イラク、オマーン、モロッコ、カメルーンなど100カ国以上で、市街地や施設などに入っているようだ。

 08年の北京五輪や14年のサッカーワールドカップブラジル大会などの大規模イベントでも活躍したという。日本の正規代理店の公式サイトによれば、日本でも京都大学がハイクビジョンの監視カメラシステムを導入している。

 ハイクビジョンは監視カメラだけでもいくつものラインアップをそろえている。しかも画像はきれいで、製品の評価も高いという。同社の監視カメラとAI(人工知能)のソフトを使えば、人の顔や身体的な特徴、または歩き方や行動などでも人物を特定できる。街に怪しい動きをしている人がいれば、すぐに察知できるらしい。

 同社のリリースによれば、「13年にディープラーニング(深層学習)技術の実装を開始し、16年には警備業界に向けて各種ディープラーニング製品を発売した」という。そして、カメラがシステムに「目」を与え、NVR(ネットワーク・ビデオレコーダー)というシステムが「脳」となって分析を担う。同社の製品は、「人物の認識、監視、計算と、車の認識、探知という2方面で警備対応を支援する」という。

 さらに同社は、中国が世界に誇る、国内の大規模監視システムである「天網工程」や「雪亮工程」を2億個以上の監視カメラで支えているとされる。さらに交通カメラや温度カメラ、ドローン(無人機)なども提供。同社の監視カメラは駅や街角にあふれており、治安部隊の目や脳になっている。

 また、ドローンの通信を妨害することによって、スポーツやエンターテインメントのイベントを警備する「デイフェンダーシリーズ」という「UAV(無人航空機)ジャマー」製品も作っている。ミサイルランチャーのようにドローンに向けて攻撃し、通信を無効化する。実際に最近も、イスラエルの音楽イベントで使われたことが報じられている。

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最終更新:6/6(木) 8:00
ITmedia ビジネスオンライン

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