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HUBがビールを値上げしたのに、客数と売り上げを増やせたワケ

6/7(金) 5:05配信

ITmedia ビジネスオンライン

 英国風PUBチェーンの「HUB」は2018年6月、業務用ビールの仕入れ値上昇に伴い、ビールを10円値上げせざるを得なくなった。ただ、値上げと同時にドリンクやフードの価格を見直すことで、客数は減るどころか増加し、結果的に19年2月期の既存店売上高は2.3%の増収となった。

【画像】メニュー表(価格改定前後を比較)

 外食チェーンにとって、“値上げ戦略”は非常に難しい。一歩間違えば、客数が大幅に減ってしまう可能性がるからだ。HUBも過去に値上げで失敗したことがあるという。

 「災い転じて福となす」経緯はどのようなものだったのか。担当者に話を聞いた。

HUBが抱いていた危機感

 ビール値上げとほぼ同じタイミングで、HUBはある危機感を抱いていた。既存店の売上高が11年2月期~17年2月期まで前年比増の状況が続いていたのに、18年2月期にマイナスに転じたのだ。

 背景にあったのは低価格を武器にした居酒屋チェーンの増加だ。HUBの平均客単価は1500円前後だが、同じような価格帯で飲める焼き鳥や串カツチェーンが台頭してきた。HUBを運営するハブは危機感を持つようになった。そんな状況で、値上げを表明してしまえば、“マイナス成長”が加速しかねない。さらに、ビールを10円値上げしたとしても、仕入れ価格の値上げ分を全て吸収できるわけではなかった。このような絶望的な状況で、HUBは戦略の見直しを迫られていた。

HUBの基本的なビジネスモデル

 値上げに踏み切る前、HUBのビジネスモデルはどのようなものだったのかを解説しよう。

 お店が最も混むのは午後9時以降。午後7時~9時まで他店で食事をしてきたお客が2次会の場として活用するケースが多いからだ。おつまみを食べずにドリンクだけを注文するお客も多かった。そのため、売り上げの8割をドリンクが占めており、フードの割合は2割にとどまる。料理に注力しすぎると居酒屋チェーンと競合関係になってしまうため、意識的にドリンクを強化してきた経緯がある。

 2次会の店として利用されやすいのには別の理由もある。HUBはドリンクやフードを注文するたびにお金を支払う「キャッシュオンデリバリー」方式を採用している。そのため、グループで来店した場合、1次会で飲み足りなかったお客は自分のお金で遠慮せずにガンガン飲める一方、お酒にあまり強くないお客はちびちび飲むことができる。また、グループでまとめて会計する必要がないため、それぞれのお客が自分の好きなタイミングで帰宅できる。担当者によると、HUBの平均客単価は1500円前後だが、その内訳は490円のドリンクを1杯だけ注文するお客や、5000円以上注文するお客など、幅が広いのが特徴だという。

 HUBではドリンクを100種類近くそろえている。価格帯は390円~1000円程度と幅広い。「英国風PUB」と聞くとビールを飲むお客が多い印象を受けるが、実はカクテルを注文するお客のほうが主流だ。特に、レギュラーサイズで390円(税込、以下同)のジントニックはHUBの人気メニューとなっている。

 なお、キャッシュオンデリバリーには弱点がある。それは、注文をするたびに会計をするので、リピーターほど値上げを感じやすくなってしまうことだ。飲み会の最後にまとめて会計をする方式ならば、値上げは感じにくい。

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最終更新:6/7(金) 12:37
ITmedia ビジネスオンライン

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