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東名阪を巡るツアー “鈴木このみ 5th Live Tour ~CurioCity~”ファイナル公演レポート

6/7(金) 21:29配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

この4月でデビュー8年目に突入した鈴木このみが、東名阪を巡るツアー“鈴木このみ 5th Live Tour ~CurioCity~”を開催。そのファイナルが、5月26日(日)に東京・TOKYO DOME CITY HALLで行われた。今回のツアーのテーマは「Curiosity=好奇心」。15歳でデビューしてからシンガーとして研鑚を積み、ひたすら真っ直ぐに突き進んできた彼女が、改めて己の気持ちに向き合い、好奇心のおもむくまま新しいことにチャレンジすることで、エンターテイナーとしてのさらなる成長と進化を見せつける公演となった。

この日の会場となったTOKYO DOME CITY HALLは、彼女が2017年のツアー“鈴木このみ 3rd Live Tour 2017 ~lead~”の最終公演で立った場所。そのときからすでに彼女のパフォーマンス力はアニメ音楽のシーンにおいてトップクラスの域に達していたわけだが、それから約2年、アニメ『LOST SONG』での声優初挑戦など様々な経験を経て、歌唱力においても表現力においてもますます磨きのかかった状態で、再びTOKYO DOME CITY HALLの舞台に帰ってきた。

壮麗なSEに誘われてバンドメンバーがステージに集うと、ライブは大石昌良が提供した軽快なグルーブの人気曲「Nice to Me CHU!!!」でスタート。「行くよ!」という声と共にステージ袖から元気いっぱいに飛び出してきた鈴木は、客席に向けて「元気ですか~!」と声をかけて開始早々華やかに盛り上げる。この曲では鈴木が観客のなかから「ラッキーさん」をひとり選び、その人に楽曲に参加してもらうのが恒例。この日運よく選ばれた「ラッキーさん」は、鈴木の「ところで君どこから来たの~♪」という歌での問いかけに「千葉のド田舎から……!」とタイミングもバッチリに答えて喝采を浴びる。ステージはファンと一緒に作り上げるもの、という鈴木の気持ちが伝わる好演出だ。

奈良ぱん(奈良悠樹/バンドマスター・ギター)、アフロック(櫻井陸来/ベース)、のんたん(北村 望/ドラムス)、アッキー(白井アキト/キーボード)という馴染みのメンバーによるソロ回しも盛り込んで、1曲目からハッピームード全開で駆け抜けると、そこから間髪入れずギターの強烈なリフが切り込んできて『Re:ゼロから始める異世界生活』OPテーマの「Redo」へ。先ほどまでまぶしい笑顔を振りまいていた鈴木は表情をキリっと引き締め、ステップに足をかけたりアグレッシブな振る舞いを見せながらパンチの効いた歌声を放つ。フロアもペンライトを白にして、クラップやコールで応戦。いつもながら鈴木のライブにおけるステージと客席の一体感はすさまじい。

濃いグリーンと黒のチェック柄の衣装を着た鈴木は、続いて「ツアー初披露曲やっちゃいます!」と、中国のアプリゲーム『デジモン:相遇』主題歌となる「Sparking light」を歌唱。明るい雰囲気のロックチューンで、鈴木の明朗な歌声とドライブ感のあるサウンドが聴き手の背中を押してくれるよう。ステージ床からスモークが柱のように噴出する舞台演出もあって、現時点では未CD化の曲ながらオーディエンスもノリノリで盛り上がる。そこから鮮烈な歌い出しとサビでのコール応酬が印象深い「AVENGE WORLD」で会場のボルテージをさらに引き上げると、この日最初のMCに。いつもライブ前日は眠れないほどガチガチに緊張するという鈴木だが、今日はリラックスできているとのことで絶好調の様子。「今日はあまり言葉は必要ないかも。歌でがっつりいきたいと思います!」と心強い意気込みを語る。

そして、こちらもいまのところ未CD化のGARNiDELiAプロデュースによる楽曲「My Days」へ。4人の女性ダンサーが登場して、鈴木はサビで彼女たちとシンクロした動きをしながらクールかつ力強い歌を紡いでいく。間奏のダンスパートでは4人のダンサーを先導するようなポジションに立ち、切れのある動き(豪快なハイキックも!)やフォーメーションダンスでも魅了。筆者は2018年5月の東京・日比谷野外大音楽堂公演でも同楽曲のパフォーマンスを観たが、そのときよりも明らかに数段レベルアップしていて、鈴木がこの楽曲で表現したいことがより明確になっていたように思う。

一転して歌心たっぷりに聴かせるミディアム「運命のEngagement」で胸をギュッと締め付けるような切ない情景を描くと、続くMCで同曲でのペンライトが一面グリーンに染まったフロアの景色に触れて「改めて思ったけど、ネギ畑みたいですね(笑)」と一言。同じ鈴木姓の声優アーティスト・鈴木みのりも、「FEELING AROUND」でネギを持ってパフォーマンスするためペンライトは緑が恒例となっていることから、いつか一緒に「鈴木フェス」ができれば……という希望を漏らす。「夢が尽きない」という彼女は、今回のツアーのセットリストを考える際も、やりたいことがどんどん溢れてきたのだそう。その「好奇心」がどこまでも広がっていくのは、ファンのみんなが後押ししてくれてるからこそと、改めて感謝の気持ちを伝える。

続いての楽曲「歌えばそこに君がいるから」も、そんな彼女の「好奇心」を詰め込んで、いつもとは違ったアレンジで歌われることに。自身が声優として主演を務めた『LOST SONG』のOP主題歌であり、歌詞を畑 亜貴と共作して自らの「歌」に対する気持ちを形にしたこのナンバー。原曲はエモーショナルな展開が胸を熱くさせるロッキッシュかつ疾走感のあるアレンジだが(作曲・編曲は白戸佑輔)、今回のライブではスロウテンポのアコースティックアレンジに。しっとりとしたピアノのイントロに導かれ、ステージ中央で直立しながら、ていねいかつ情感をたっぷりと込めたボーカルを会場中に響き渡らせる鈴木。オーディエンスもペンライトの灯りを消して、静かに聴き入る。間奏で花道の突端にまで歩み出た鈴木は、落ちサビを完全なアカペラで歌唱。歌うことが大好きで、歌の力を信じて走り続けてきた彼女が、歌が繋いでくれた縁の大切さ、そして自らが歌うことの意味を、切々と届けてくれた。

鈴木の心に染み渡る名唱に惜しみない拍手が送られるなか、今度は開放感に満ちた「Love is MY RAIL」が勢いよくスタート。青空を飛翔するように伸びやかな歌声が、聴き手の視界を一気に広げてくれる。例え道に迷うことがあっても、自分らしく、ただ真っ直ぐ前を向いて進んでいけばいい――鈴木からファンに向けて、そしてこの曲の歌詞を書いた畑から鈴木に向けてのメッセージのような言葉が、心を自由にしてくれる。2番の“今度はどこだって 気軽に向かえばいいんだと 声が聞こえる気がした”というフレーズも、今回のツアーコンセプトである「好奇心」にぴったりだ。ペンライトがオレンジに変わってフロアにあたたかな灯が点いたラスサビでは、鈴木が“だからいつも Love is MY ALL”の“いつも”の後に「ありがとー!」と叫ぶ一幕も。「歌えばそこに君がいるから」「Love is MY RAIL」と続いた一連の流れには、この日のライブでもとりわけ心を動かされた。

そして鈴木の「好奇心」が最も発揮されたのが、続いて披露された新曲「Curiosity(Live Style)」。一旦ステージをはけた彼女は、なんとタップシューズを履いて再登場。コツコツと足音を響かせながらステージ上段の中央に陣取ると、そこで見事なタップダンスを披露する。驚きの演出に客席から大きな歓声が沸くと、今度は津軽三味線奏者の匹田大智が登場し、タップダンサーもステージに上がって楽曲がスタート。情熱的なバンドサウンドと三味線、そしてタップダンスの融合。これこそが鈴木の「好奇心」を刺激したチャレンジなのだ。間奏では鈴木のタップダンスと三味線の応酬合戦も行われ、ライブパフォーマーとしての進化を印象付けた。

MCでタップダンスには昔から興味を持っていて、今回のツアーで披露するために毎週スタジオに通って練習していたことを明かした鈴木。「Curiosity」の音源版(最新シングル「真理の鏡、剣乃ように」のカップリングに収録)にもタップダンスと三味線の音が入ってはいたが、まさか鈴木本人がライブで挑戦するとは思っていなかった人も多かったことだろう。そして、せっかくのチャレンジなのに1曲だけでは物足りないということで、「BE THE ONE」も三味線とタップダンスを加えた特別バージョンで披露。情熱的な世界観に不思議なアクセントが加わって、和(三味線)と洋(タップダンス)がぶつかり合う新しい楽曲に生まれ変わっていた。

その後、鈴木は衣装チェンジのためにステージを一旦降り、匹田が熱さと幽玄な響きを併せ持った津軽三味線のソロパフォーマンスを行い、超絶的な早弾きなどでオーディエンスを盛り上げる。そして「I say “Happy day!”」のポップなイントロ&コーラスが流れ出し、白の華やかなワンピースに着替えた鈴木が全力ダッシュでステージに登場。笑顔満開でコール&レスポンスをリードし、自由に楽しむ気持ちを天真爛漫に表現する。そこから「みんな体力は残ってるか~!」と煽ってキュートなロックンロール「yell!~くちびるからはじまる魔法~」に突入。ステージを走り回りながらかわいく弾けるパフォーマンスで、会場中に陽性のエネルギーを振りまく。勇ましさ溢れる「One day sky」ではダンサー2人が登場。オーディエンスも熱く盛り上がり、サビ部分の「ウォーオーオーオー」という大合唱は、天まで届かんばかりの勢いだ。

ダンサーのサポートで銀のトップ+紫のスカート姿に衣装チェンジして身軽になった鈴木は、ここからラストスパートとばかりに熱い楽曲を連続で披露。まずは『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』のEDテーマ「真理の鏡、剣乃ように」をダンサーと共にパフォーマンスし、歌謡ロックを思わせる情熱的なメロディ、鋭く熱いボーカル、クールかつ艶めかしい動きで魅了する。イントロのピアノの旋律が流れた瞬間に大歓声が上がった「This game」では、ステージにヒザをつき、そこから勢いをつけて上昇するようなハイトーンボイスで会場を圧倒。スモーク噴出が昂揚感を高めた「Blow out」では、ギターとベースも前進して全力でぶっ飛ばしていく。

最強のメタルコア曲「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」ではステージ上段に炎の柱が上がり、鈴木は奈良と櫻井を引き連れて花道へ。歌詞の“「生きて行こう!」”の部分で奈良にマイクを向けてシャウトさせる場面もありつつ、ファルセットを織り交ぜたアグレッシブ極まりないボーカリゼーションで観客を興奮の絶頂へと先導していく。そして「もっと大きい声聴かせてくれる?」「一緒にカウントアップしてくれますかー!」とフロアの熱狂を引き出した彼女は、ダメ押しに「Beat your Heart」を投入。歌い始めと同時に銀テープが発射され、限界までアクセルを踏み込んだようなスピード感に、会場のボルテージは最高潮に。“1,2,3,4,5 Wake! Up! Your! Heart! Beat!”のフレーズはもちろん大合唱。最後は全員で一斉にジャンプして、熱狂のステージをバシッと締めくくった。

盛大な「このみん」コールを受けて、ツアーTシャツにデニムスカートという出で立ちで再度ステージに上がった鈴木は、今回のツアーについて「私のお披露目会みたいに、自分一人のやりたいことを押し付ける感じにならないかすごく心配だったんですけど、皆さんに私の好奇心が届いていて本当にうれしいです」と感想を述べる。そして彼女はここで、2019年秋にニューアルバムを発売することを発表。なんでもコンセプトは「果たし状」とのことで、今回のツアーで自分が今までやったことのないこと、イメージにないであろうことにチャレンジした楽しさを受けて、自分に果たし状を突きつけて可能性を模索するような作品にする予定だという。今回アイリッシュタップダンスを習った影響でアイリッシュ音楽に興味が沸き、本場アイルランドまで武者修行に行くつもりだとも明かしていたので、いままでになくチャレンジングな作品が生まれることになりそうだ。

そしてマイクスタンドが用意され、スタッフから白のエレキギターを手渡された鈴木は、「今日のものすごくうれしい気持ちを込めて、この曲をお届けしたいと思います」と語って、爽快なロックチューン「蒼の彼方」でアンコールをスタートさせる。ペンライトが一面ブルーに染まるなか、最後に両手を大きく広げて“この蒼のように”と歌う姿が印象的だった。続く代表曲の「DAYS of DASH」では、「鈴木このみ、バズーカ砲ぶっ放します!」とフロアに向けてスペシャルなプレゼントを撃ち込んだり、2番ではカメラを持って客席の隅々を撮影するなど、あの手この手でオーディエンスを楽しませる。それに応えるようにラスサビではファンが大合唱し、あたたかで感動的な光景を生んだ。

そして彼女がこの日のラストに歌ったのは「夢へ繋ぐ今」。2年前のTOKYO DOME CITY HALL公演で初めて披露された、初めて自分で作詞・作曲した楽曲だ。ステージに立つときはいまだに震えることもあるという彼女が、そこでの頑張りが未来に繋がってほしいという願いを込めて書いた曲だという。「いろんな人との出会いや別れがあるなかで、今日こうしてみんなと過ごせたことが本当にうれしかったし、悩んでいた日々も無駄じゃなかったことをすごく感じました。それは自分だけではなくて、みんながそう思わせてくれたんだと思うので、心から感謝しています。最後はそんな思いを込めて、そして今日がもっともっといい明日へ、未来へ、夢に繋がっていくように、全力で歌いたいと思います」。今の思いのたけをありのままに語った鈴木は、不安や戸惑いを抱えながらも夢に向かって前進する希望の歌を、“憧れ色の キミの空”に向けて高らかと歌い上げる。楽曲が進むにつれて晴れやかな景色がどこまでも広がるなか、最後は鈴木の「まだまだ一緒に走って行こうね!」という言葉と共に、祝祭感たっぷりに幕を閉じた。

タップダンスの披露には正直驚かされたが、何よりも彼女のすごさを感じたのは、やはりその歌の力だ。ダンサーとの振り付け曲を含め、運動量としても相当な内容だったにも関わらず、どの場面でも全くぶれることのなかった安定感。歌い方や声量を細かくコントロールして歌詞の意味するところをしっかりと伝える表現力。そして聴き手の心を否応なく揺さぶる真っ直ぐでひたむきな気持ち。そこに今後さらなる「好奇心」が加えられることで、鈴木このみというアーティストはどこまで進化していくのか。デビュー8年目にしてまだ22歳。彼女が進むレールの先にはまだまだ無限の可能性が広がっていることを強く実感するライブだった。

Text By 北野 創(リスアニ!)

“鈴木このみ 5th Live Tour ~CurioCity~”東京公演
2019年5月26日(日)TOKYO DOME CITY HALL

<セットリスト>
1. Nice to Me CHU!!!
2. Redo
3. Sparking light
4. AVENGE WORLD
5. My Days
6. 運命のEngagement
7. 歌えばそこに君がいるから
8. Love is MY RAIL
9. Curiosity(Live Style)
10. BE THE ONE
11. I say “Happy day!”
12. yell!~くちびるからはじまる魔法~
13. One day sky
14. 真理の鏡、剣乃ように
15. This game
16. Blow out
17. 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い
18. Beat your Heart
EN1. 蒼の彼方
EN2. DAYS of DASH
EN3. 夢へ繋ぐ今

●ライブ情報
アジアツアー開催決定
Konomi Suzuki Asia Tour 2019
10月12日(土)上海・BANDAINAMCO上海文化センター未来劇場  18:30/19:30
10月26日(土)台湾・会場名未定
11月3日(日)香港・Music Zone @E-Max
11月10日(日)東京・豊洲PIT  16:00 / 17:00
11月30日(土)岡山・YEBISU YA PRO  16:30 / 17:00
12月1日(日)福岡・LIVEHOUSE CB  16:30 / 17:00
12月15日(日)宮城・仙台MACANA  16:30 / 17:00
12月21日(土)北海道・KRAPS HALL  16:30 / 17:00

詳細はHPをチェック!

関連リンク
鈴木このみオフィシャルサイト

最終更新:6/7(金) 21:29
M-ON!Press(エムオンプレス)

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