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心斎橋刺殺事件から7年 被害者のバンドメンバーが続ける「ロックフェス」

6/8(土) 12:39配信

ハフポスト日本版

2012年6月10日、大阪・心斎橋の路上で通行人2人が男に刺され死亡する事件が起きた。

2012年6月11日の朝日新聞夕刊によると、男は当時36歳。大阪府警の調べに対し、「自殺しようと思って、事件を起こす前に現場近くで包丁を買った。死にきれず、人を殺してしまえば死刑になると思って刺した」と供述したという。男は2人と面識はなかった。

犠牲になった1人が、東京都の音楽プロデューサー南野信吾さん(当時42歳)だ。事件の日は、仕事で大阪を訪れていた。

毎年6月、南野さんのバンドメンバーが、南野さんの名前をつけたライブを続けている。事件から7年となる2019年6月10日にも「MINAMINO ROCK FESTIVAL 2019」が新宿のライブハウス「新宿LOFT」で開かれる。

「大阪から帰ったら、また連絡します」

ライブを運営してきたのは、バンドメンバーの柳沼宏孝さん(50)だ。

南野さんとの出会いは30年ほど前。別のバンドでベースとして活動していた柳沼さんを、南野さんは自身がボーカルを務めるバンドに誘ってきた。誘い文句は「僕が絶対に武道館に連れていきます」だった。

1996年春にロックバンド「4-STiCKS」の名前でメジャーデビュー。解散後も、2人は別のバンドで一緒に音楽を続けてきた。

「楽しいことをするのが好きで、突然やってくる人だった」と柳沼さんは話す。ふらりと現れて日帰り温泉に誘ってきたり、サイパン行きの航空券を持ってきて「みんなで行きましょう」と言ったりしたこともあった。柳沼さんが仕事で関わるイベントに、南野さんが子どもたちを連れて遊びにきた姿が目に焼き付いているという。

最後に会ったのは事件の一週間前だった。車のバッテリーが上がったとSNSに書き込むと、駆けつけてくれた。

「大阪から帰ったら、また連絡します」と南野さんは言った。

毎年6月10日を「彼の話をする楽しい夜に」

事件の後、2012年秋に、音楽仲間の声を受けて遺族を支援するライブを行った。以降は毎年6月10日にライブを続けている。

追悼ライブとして続けてきたが、数年前から「ロックフェス」に名前を変えた。「『フェス』としてやることで、『前を向いている』と感じられるようになった。事件当時を知らないアーティストも『できることがあれば』と協力してくれている」

「色んな人に慕われていた人。彼の話をする、楽しい夜にしたい」

一方で事件を「風化させたくない」との思いもある。産経新聞などによると、無期懲役とした大阪高裁判決を不服とし、大阪高検が最高裁に上告している。

「よく『裁判終わってないの?』と聞かれる。それって風化ですよね。世の中として、こういう事件で亡くなった命を無駄にしてはいけないと思う」

柳沼さん自身も、事件を受けて変わったことを感じている。「悔いを残さないようにしようと思うようになった。それは今もめちゃくちゃ思っている。いろんな気持ちがあるけど、前を向いていくしかない。彼の分も生きていく」

◇◇◇
「MINAMINO ROCK FESTIVAL 2019」
日時:2019年6月10日(月)OPEN 16:30 START 17:00
場所:新宿LOFT(東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2)
チケット:当日3500円

20組以上のアーティストが出演する。経費を除く売上は南野信吾さんの家族に寄付される。

湊彬子

最終更新:6/8(土) 16:23
ハフポスト日本版

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