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[記者手帳]サムスン電子のイ・ジェヨン副会長は何をすべきか

6/9(日) 12:07配信

ハンギョレ新聞

 サムスンが不正スキャンダルから脱け出せずにいる。2016年10月、国政壟断勢力の収賄事件で始まったスキャンダルは、労組破壊事件を経て、サムスンバイオロジックスの粉飾会計・証拠隠滅事件へとつながり、さらに拡大する雰囲気だ。

 弱り目に祟り目で、サムスンの過去最高の実績をけん引してきた「半導体特需」まで下火になっている。自信満々だったサムスンの表情にも焦りが現れている。サムスン電子のある役員は「このまま進むと、本当に倒産しそうだ。携帯電話分野でトップだったノキアの没落も一瞬だった」とため息をついた。ある系列会社代表は、サムスンバイオの工場の床に会社のサーバーを隠したことが明らかになった後、「グローバル超一流を自負していた私たちがどうしてこんな風になったのか…」と言葉を詰まらせた。

 サムスンの危機は自ら招いたという指摘が多い。企業各社は、大型の不正スキャンダルが発生した場合、事業に及ぼす影響を防ぐため、急いで対策を打ち出すのが常識だ。サムスンも2006年(安企部Xファイル事件)と2008年(裏金疑惑事件)に、2回国民向け謝罪を行った。特に2008年には、イ・ゴンヒ会長を含めた首脳部の同時退陣、「コントロールタワーの解体」を含む刷新案を電撃発表した。

 しかし、サムスンはこの3年間相次いで国民に大きな衝撃を与えたにもかかわらず、過ちを認めようとしていない。むしろイ副会長は、収賄事件の最終陳述で、「自分の私益のために大統領に頼んだことは決してない」と抗弁した。司法当局の判断と世論に真っ向から反論してきた。

 サムスンはなぜこのような選択をしたのだろうか。サムスンの収賄事件の2審裁判所は、経営権継承のための不正な請託を認めず、1審裁判所と相反する判断を下したが、粉飾会計及び証拠隠滅の捜査で継承作業の実体が次々と明らかになっている。しかし、イ副会長がこれを否定する状況で、専門経営者らが国民向け謝罪を建議し、トップの逆鱗に触れることは容易ではない。結局、収拾のカギはイ副会長が握っているわけだ。

 イ副会長は、保身を図るよりは、内外の挑戦の中で危機感が高まるサムスンを救う道を模索しなければならない。その出発点は、自分の問題によってサムスンがこれ以上揺れることがないよう、“防火壁”をしっかり建てることだ。すでにサムスンは莫大な有形無形の被害を被った。文大統領が今年4月30日、直接工場を訪問し、非メモリー半導体への支援の意志を明らかにしたのは、サムソン電子にとって絶好のチャンスだった。しかし、大統領が最高裁判所の判決を控えたイ副会長に会ったことで、適切性をめぐる論議になり、すべてが(イ副会長の陰に)隠された。最近はサムスンが投資・雇用という言葉を口にするだけで、イ副会長のための“布石”と見られる。

 イ副会長は、最高裁(大法院)の判決が避けられないなら、それ以前に経営権の引継ぎを含め、率直な立場を明らかにし、責任を負う姿を見せる案も検討しなければならない。ある系列会社の役員は「イ・ゴンヒ会長ならこんなにじっとしていなかっただろう」とし、「国民に謝罪し、どんな形であれ責任を負う姿を見せて、サムスンの未来のために努力する姿を見せれば、国民は背を向けないだろうに」と残念がった。中堅グループの会長は「数年は(刑務所に)入ると覚悟をすべきだった」と話した。

 一部ではトップの空白による「サムスン危機論」「韓国経済同伴危機論」を提起している。しかし、チャン・ヨンチョル慶煕大学教授は「倫理・遵法経営を遵守しない企業が成功する可能性はますます低くなる」とし、「経済に及ぼす影響を恐れて目をつぶってしまうと、サムスンと韓国経済が新しく跳躍する機会をむしろ遅らせることになる」と指摘した。

 根本的にはサムスンの支配構造と経営体制を見直さなければならない。2014年5月、イ・ゴンヒ会長が急に倒れた後、イ副会長がサムスンの新たなトップになった際、「イ・ゴンヒ時代」とは異なる「ニュー・サムスン時代」を開いてほしいという期待が高まった。イ・ゴンヒ会長時代、サムスンは優れた経営成果にもかかわらず、支配構造と社会責任では国民の要求を満たせず、「光と陰」が共存すると評価された。しかし、失望の方が大きい。サムスン構造調整本部出身の人物は「イ・ゴンヒ会長は1987年末会長に就任し、5年後の1993年初めに新経営というビジョンを打ち出した後も、引き続き革新を掲げ、サムスンをグローバル企業に育てあげた」とし、「一方、イ副会長はこれまで5年間、きちんと打ち出したものがない」と比較した。

 3・4世の時代に入った韓国の財閥は、オーナー中心の経営一辺倒から離れ、支配構造と経営体制をより多様化する必要がある。キム・ジンバン仁荷大学教授は「イ副会長が経営をうまくやってくれれば良いが、そうではない可能性もある。経営は専門経営家に任せ、本人は大株主として監督の役割を忠実に果たす案が望ましい」と述べた。イ副会長自身も数年前に「トップは単に株式を多く持っているからではなく、役員や従業員にリーダーシップと経営力を認めてもらわなければならない」と強調した。

 今月7日はイ・ゴンヒ会長が1993年に新経営宣言をしてから26周年になる日だ。イ会長は「女房と子ども以外はすべて変えろ」と述べた。イ副会長も、サムスンのために何を変えるべきかを、考えなければならない。

クァク・ジョンス産業チーム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:6/9(日) 12:07
ハンギョレ新聞

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