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目標設定の「暗黒面」、エベレストでの死者数急増から知る

6/10(月) 12:12配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

世界最高峰エベレストでは今シーズン、少なくとも11人が山登りの途中で命を落としている ― 雪崩や猛吹雪のせいではなく、確立された登山ルートで、だ。

あまりにも多くの登山者が山頂を目指して列をなし、“渋滞“になっているからだという。この渋滞のせいで、登山者は「死のゾーン」と呼ばれる標高約8000メートル以上のエリアで待つことになる。

経験不足の登山者に、山頂を目指すことを許した許可制度の緩さも犠牲者を出すことにつながったかもしれないが、心理学は、「サミット・フィーバー」 ― 頂上に到達したいという登山者の執着心 ― が影響した可能性を示している。

エベレストで渋滞が複数の死者を出すことにつながったのは、これが初めてではない。1996年には、8人が山頂近くで渋滞中に命を落とした。当時、組織心理学者のクリストファー・ケーズ(Christopher Kayes)氏は、ヒマラヤの山麓の丘から登山者を観察していた。

2004年の研究論文で、ケーズ氏はエベレストの山頂に到達することが登山者の社会的アイデンティティーの一部になっていると指摘。登山者たちは目標を達成したいあまりに、誤った判断を下しているとした。

山頂に到達したいというエベレストの登山者たちの衝動が、他の行動を考えることを妨げていると、ケーズ氏は主張する。目標達成だけを追求する登山者の視野の狭さが、その途中で遭遇した渋滞や酸素量の低下といった問題を見えなくし、引き返すという選択肢を消してしまう。

加えて、頂上に近ければ近いほど、登山者はここで引き返したらこれまで投資した時間や労力が無駄になると恐れるかもしれない ― これは「サンクコストの誤り」と呼ばれる現象だ。

ジャーナリストで『The Antidote: Happiness for People Who Can't Stand Positive Thinking』の著者でもあるオリバー・バークマン(Oliver Burkeman)氏は、ケーズ氏の主張を拡大し、高すぎる目標設定は成功を遠ざけかねないと指摘した。例えば、CEOがあまりにも野心的な目標を掲げると、チームのメンバーはタスクを本当に実行できるかどうか不安になる。

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最終更新:6/10(月) 13:43
BUSINESS INSIDER JAPAN

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