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携帯解約金「上限1000円」は大混乱をもたらす(石川温)

6/10(月) 15:09配信

Engadget 日本版

6月7日、新聞やテレビが「携帯違約金、上限1000円」と報じた。これまで大手3社では2年間の期間拘束中に解約しようとした場合、解除料として9500円を徴収している。

政府としては、この解除料を安価にすることで、キャリアを辞めやすくする環境を整備。大手3社に値下げ競争を促すとともに、今年10月に第4のキャリアとして参入する楽天を全力で応援する構えのようだ。まさに、総務省が「大手3キャリアを辞めて楽天にしよう」と言わんばかりだ。

ただ、すんなりと「解除料、上限1000円」になるかといえば、そうではないらしい。今回の報道に、戸惑いの声を上げるスマホ業界関係者が後を絶たない。あまりに急な話で不安要素が多すぎるのだ。

例えば、開始時期。リーク報道では「11日に有識者会議を行い、今夏をメドに答申をまとめ、秋までに省令を改正する」とある。しかし、秋までに省令を改正し、実施するには時間が無さ過ぎる。これまでも、総務省の議論によって、新しいルールが導入されてきた。例えば、MNPのウェブ受付や中古端末SIMロックの解除などがあるが、いずれも、導入するまで一年弱から1年半の猶予期間が置かれていた。しかし、今回の省令改正が、即時対応となれば、現場は大混乱しかねない。

また、すでにNTTドコモとKDDIは、総務省の「完全分離プラン導入」という意向を受けて、新しい料金プランを6月からスタートさせている。

関係者によれば「新料金プランは当然、解除料が上限1000円ということを考えて設計していない。秋に対応するのは無理に等しい」と、ぼやく。

新料金プランは、解除料9500円を前提に作られているため、解除料が1000円以下となれば、それに見合った料金プランに作り変えなくてはいけない。

せっかく、6月から新料金プランをスタートさせたにもかかわらず、秋にはまた新しい料金プランを登場させるとなると、「次々、新料金プランが出てきて、結局、よくわからない」という状況になりかねない。

総務省が引っ掻き回すことで、結局、キャリアとショップ、ユーザーが振り回されることになるのだ。

ある関係者は「総務省の議論が後手後手すぎて、スピードの速いスマホ業界に全くついていけていない」と厳しく指摘する。

また、別の関係者は「2年未満で辞める人を前提としたプランとなれば、月々の通信料金は高くなる可能性がある。これでは意味がないのではないか」という。

例えば、NTTドコモが6月にサービスを開始したギガホの場合、2年間の定期契約ありの場合は6980円だが、定期契約がないと8480円という設定になっている。

解除料が9500円でユーザーが辞めない前提で、2年間使い続けるという約束をしているからこそ、6980円になるわけで「解除料が安いから、もしかしたら辞めるかも」という人に同じ料金プランを提供するのは無理があるというのがキャリアの考えだ。

料金競争によって、通信料金が値下げされるのか、それともユーザーに逃げられる恐れがあるから月々の料金を高めに設定し直すのか、キャリアの今後の対応に注目だ。

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最終更新:6/12(水) 0:40
Engadget 日本版

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