ここから本文です

ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由

6/11(火) 8:15配信

ITmedia ビジネスオンライン

 ちょっと前まで、株価10倍、ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」(運営:ペッパーフードサービス)がうって変わってヤバいだなんだと叩かれている。

【画像】あの焼き鳥チェーンも業績が低迷

 2018年12月期決算(連結)は、売上高635億900万円(前期比75.3%増)に対して、最終利益はマイナス1億2100万円と8年ぶりに赤字となったからだ。

 低迷の原因として挙げられるのは、ステーキの本場でも手軽に食べられる業態を定着させたいと意気込んで進出した米国事業。ニューヨークで11店舗していて、そのうち7店舗を閉店することにともなって、12億円近い特別損失の計上が響いたという。

 また、パク……ではなく、似たようなコンセプトの店が雨後のタケノコのようにわいて出て、血で血を洗うレッドオーシャンになったことが原因だという指摘も多い。確かに、「ステーキ屋松」(松屋フーズ)、「やっぱりステーキ」(やっぱりグループ)、「アッ!そうだステーキ」(チムニー)、「カミナリステーキ」(モンテローザ)など、大喜利のようなノリでネーミングされた競合店が乱立しているのだ。

 これらが低迷を招いたのは間違いないだろう。が、個人的にはもうひとつ致命的な敗因があったのではと感じている。それは「店の出しすぎ」だ。具体的には、これまで数多くの外食チェーンを撃沈させてきた「500店舗の壁」にぶちあたったのだ。

「ほにゃららステーキ」が参入

 ご存じのように、日本はすさまじい勢いで人口が減少している。が、営利企業のかじ取りをしている人たちの頭の中は全く逆の世界観で、「ビジネスとは右肩上がりで成長しなくてはならぬ」という強烈な思い込みがある。

 そうなるとどこかのタイミングで、来期は今期より成長、店舗数も増えて当たり前という企業の理想と、人口減少という現実がかみ合わなくなってくる。日本全国津々浦々で展開しているコンビニやファミレス、ファストフード以外の独立系外食チェーンの場合、その破たんポイントがだいたい「全国500店舗」前後に訪れるのだ。

 「いきなり!ステーキ」は、その典型的なケースである可能性が高い。

 19年5月末日現在、「いきなり!ステーキ」の店舗数は463(国内459、海外4)。18年6月末時点の店舗数は276で、「年間200店舗の新規出店」という目標を掲げていたことを思えば、「計画通り」だが、この計画が裏目に出たかもしれないのだ。

 「ホットペッパーグルメ外食総研」が首都圏、関西圏、東海圏の男女約1万人を対象とした調査では、2019年4月の「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」の市場規模は前年比+15億の356億円だが、これは右肩上がりで成長をしているわけではなく、300億規模で増減を繰り返している(市場規模:各圏域の延べ外食回数×各圏域における業態シェア×各業態の単価で算出)。

 市場規模はそれほど顕著に増えていない。にもかかわらず、1年で200店舗も増やして、その勢いにあおられてパク……ではなく、「ほにゃららステーキ」のような類似コンセプトの後発組が続々参入すれば、壮絶なイス取りゲームが進行するだけでなく、「なんか最近ステーキ屋多くない?」という消費者心理が働き、「手軽な価格の立ち食いステーキ」に対する新鮮味が薄れ、ブランド力も低下する。これが全国500店舗規模まで成長した飲食チェーンが、「客離れ」に直面するメカニズムである。

1/3ページ

最終更新:6/12(水) 8:21
ITmedia ビジネスオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事