ここから本文です

なぜ、「日本的人事戦略」は機能しなくなったのか?

6/11(火) 8:58配信

ITmedia ビジネスオンライン

 経団連やトヨタの経営陣が「終身雇用を維持するの無理無理」と言い始め、実際に大企業で45歳以上のリストラ(大幅な配置転換や退職勧告)がニュースになるなど、「日本的人事戦略」についての議論が盛り上がっている。

日本の人事制度が通用しなくなった理由とは

※実際には、これらは、“人事戦略”というよりは、“人事慣行”くらいのものだと思っている。が、ここでは一般的な人事戦略という言葉を使う。

 僕は1996年に社会人になった。そして日本的人事戦略が変容していく様子を一般的なサラリーマンよりも半歩前に経験してきたように思う。そこで本記事では、「経営環境の変化」「日本企業の人事戦略の変化」「僕の仕事人生」の3つを点描することで、「日本的人事戦略が日本企業にもたらしたもの」を考えてみたい。

 統計的裏付けのない、あくまで僕のキャリアからの視点なので、バイアスもあろうかと思う。ただ、その分、生々しく、分かりやすいのではないだろうか。

1. 失われた30年前夜

 バブル期を含め、景気拡大期は事業が素直な伸び方をするので、業績拡大(売上利益の向上)のためには、「おのおのの持ち場で各位努力する」が最適解であった。開発は良い製品を作り、製造は1円でも安く作り、営業は売りまくる――そういうイメージだ。

 そういう経営環境で人事に課せられたミッションは、

・とにかく標準以上の能力の人材を集める
・能力とモチベーションの平均を上げる(特にモチベーションが成果に直結した)
・それを場所や年齢が変わっても維持してもらう

というものであった。つまり「8割の社員をやる気満々にすること」が人事の最重要課題だったわけだ。

 その最適解が年功序列と終身雇用である。その中でも、モチベーション維持のために特に重要なのが、昇進と待遇を同期横並びにすることだった。

 逆にいうと、同期と差をつけられた人のモチベーションはダウンする。20年前(入社4年目くらい)に、ある日本的経営の会社に勤めていた友人が「同期より給与が低かった。そういうことやる会社なんだ、と嫌気がさした」とぼやいていたのを覚えている。

1/7ページ

最終更新:6/11(火) 8:58
ITmedia ビジネスオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事