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コンビニ関連ユニオン発足 河野初代委員長に聞く

6/11(火) 14:02配信

ニュースソクラ

7月11日にはストライキ、営業中止ばかりでなく支払い遅延なども

 コンビニのオーナーばかりか、本部社員やパート、配送ドライバーまでコンビニに関連している労働者なら誰でも加盟できる、コンビニ関連ユニオンが6月9日発足した。執行委員長に就任したセブン-イレブン本部社員である河野正史氏に話を聞いた。(聞き手はジャーナリスト、角田裕育)

 問 労働組合を何故作ろうかと思ったのか(注:セブン-イレブン・ジャパンには労働組合がない。ローソンやファミリーマートにはある。セブン&アイ・ホールディングス労働組合には、イトーヨーカ堂などの従業員は加盟できるが、セブン-イレブン本部社員は加盟出来ない)。

 河野 千葉の直営店の店長時代、何十万円もの赤字が出るような店舗だった。自腹買いなどのノルマが横行していた。それにOFC(店舗経営相談員)に昇格してから、加盟店に寄り添う本部社員になりたいと思っていたが、上から言われることを伝えるしかなかった。

 問 具体的にはどういうことか?

 河野 『saita』(セブン&アイ出版)という鈴木前会長時代に創刊したことのあるファッション雑誌があるが、殆ど売れず、本部社員が自腹買いをたくさんやる羽目になった。引き取った雑誌を大量に載せて持ち帰ったため、本部社員が使用する店舗を巡回する為の車のタイヤがパンクしたという冗談が横行したほどだった。キャベツの浅漬けのノルマでも大変な自腹買いが起きた。

 問 普段、同僚と飲みに行く機会などなかったのか?

 河野 全くなかった。日曜日は朝3時まで資料を作成。ケーススタディという報告書では、「売り上げが見事達成できました」というような自腹買いの事実を隠して報告書を書く。ちなみにこのケーススタディは、自分たち社員は揶揄して「紙芝居」と呼んでいる。

 問 コンビニ店舗は過剰ではないか?

 河野 リーマンショックの時、セブンーイレブンだけで約1万店だったのに、今は2万店を超えている。明らかにパイは減ってきている。新規出店する時、ドミナント(集中出店)で店舗間の距離が近すぎるので、「オーナーが可哀そうではないか」と自分達、OFCが反対したりする場合もある。だが、RFC(店舗勧誘員)の方が社内では格上で、力が強いので押し切られる。

 セブン-イレブンでは、OFCからRFCを経てDM(ディストリクトマネージャー・課長級)以上に出世するというのがメインストリーム。

 問 どうして声を上げる人がいなかったのか?

 河野 「OFCはこの会社では3年も続けれれない」と言われてきた。声を上げたら配転などに遭う。私も千葉でビラ配りをしたら長野に配転された。

 現場は残酷だ。OFC1年目だったT君は練炭自殺した。最近も甲府の53歳の店長が亡くなった。自殺ではないが過労死だろうと思う。「このブラック企業・・・」という書置きをして、行方不明になったオーナーもいる。

 問 オーナーが24時間営業できついことは、ある程度世間に知られているが、本部社員は東証一部上場の優良企業で、いい待遇だと思っている人が多い。

 河野 とんでもない。ある意味オーナーの方が楽で、OFCの方がキツイと思った。OFCは大体、8店舗を担当している。オーナーの多くは1店舗経営だ。

 問 かつて井阪隆一社長(現セブン&アイ・ホールディングス社長)にインタビューしたところ、「違約金など、最初から取っていない」と発言した。

 河野 上はそういうことを言って、OFCに汚い仕事をさせる。OFCは鉄砲玉みたいなものだ。

 問 鈴木敏文前会長が退任した後の今の経営陣をどうおもぅか。        

 河野 全く何も考えない経営陣だ。鈴木信者(鈴木前会長にひたすら追随する人)のまま、出世してしまったような人たち。永松文彦現社長は、私の千葉勤務時代のZM(ゾーンマネージャー・部長級)だったが、過剰な自腹買いを強要するような人だった。

 問 河野さん自身は鈴木信者だった時代はあるのか?

 河野 全くない。最初から何かおかしい会社と思っていた。

 問 今、職場ではどういう環境に置かれているか?

 河野 役職はOFC扱いで、給与体系もそうだが、やらせてもらえるのは、格下のAFC(アシスタントフィールドカウンセラー・OFC見習い)の仕事。人出の足らない加盟店のヘルプに入るとか。普通のOFCと同じように8店舗の経営指導を任せると、私が加盟店に仲間を増やすという懸念が上にはあるようだ。

 問 今回の労働組合結成の意義は?

 河野 コンビニ加盟店ユニオン(連合)などは、あくまで加盟店オーナーのみを対象とした労組だった。それが、今回は本部社員をはじめ、加盟店従業員、配送ドライバーなどコンビニ関連従業員は誰でも加入出来るという点が画期的だ。私は本部社員なので団体交渉権が発生する。敵対すると思われていた本部社員とオーナーが繋がることが出来たのは大きい。

 河野氏はインタビュー中、注文した冷やし中華をいつの間にか平らげていた。早飯を普段から訓練しているそうだ。セブン―イレブンの良く言えば「猛烈」さ、悪く言えば「ブラック」さを垣間見た気がした。

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 東京都台東区にある東上野区民館でコンビニ関係従業員・オーナーなら誰でも加入できるという「コンビニ関連ユニオン」の結成大会が6月9日午前、行われた。同労組は、コンビニの本部社員、加盟店オーナー、店舗従業員は勿論のこと、取引先の配送ドライバーなども加盟対象者になる。

 同労組の書記長となる千曲ユニオン(長野県)の専従書記長でもある鎌倉玲司氏は、
「コンビニは行き詰まっている。このまま行けば(オーナーは)殺される」と発言し、「ドミナント(集中出店)が進み、(既存店から)30メートル、50メートル先という近接地に出店する背景には政治の流れがある。新自由主義で30数年やってきて労基法が崩れてきた流れがある」とし規制緩和などを批判した。

 執行委員長に就任した本部社員の河野正史氏は、長時間労働の結果、鬱病を発症。2年越しの闘いで労働委員会に訴えたと説明した。河野氏の鬱病が判明したのは、偶然、メンタルクリニックに通う知人に同行した際、河野氏の顔色を見た医師が驚き、「すぐに休職するよう」と指示を出したことだという。

 鎌倉氏は「もしその時の医師の指示がなければ河野氏はここにいなかった」という。

 河野氏の動きを知ったオーナーたちから、全国から激励が多く寄せられた。その結果、今年2月10日に河野氏に電話を寄せた加盟店オーナー松本実敏氏(東大阪南上小坂店)が深夜営業中止を敢行することになったという。

 続いて、執行委員長に就任した河野正史氏や副執行委員長に就任した群馬県のセブン-イレブンオーナーの永尾潤氏らが発言した。”セブントラック”と言われる商品を運送する配送ドライバーが24時間、GPSで監視され、16.7時間もの労働時間になっている過酷な実態も報告した。

 最近では、配送ドライバーの過労死者が出たにも関わらず、「セブン-イレブンの名前が出なくて良かった」と発言した本部上層部社員がいるということも述べた。

 河野氏は、「本部社員は、夜中3時や4時にも呼び出される。私は火事や強盗事件などで呼ばれた。それで年収300万円ぐらい。それなのにある外国人の役員は24億円も取っていた」と語った。

 「7月11日にストライキを計画しているが、その日からセブン-イレブンの沖縄出店が始まる。大キャンペーンで切り崩すのではないか」と懸念を表明した。

 ストライキの内容については、各役員によると、必ずしも店舗を休業するのではないという。

 「店舗を休んでしまうと、近所の競合店に客を取られてしまう可能性がある。それで、店舗の売り上げや収益が下がっては元も子もない。売上送金の中止(注:コンビニでは売上を全てATMサービスで送金しなければならない)や、発注中止という手もある」と多彩な戦術を展開することをほのめかした。

 現時点では会社側には組合員であることを隠している組合員もいるので、ストに参加する人数は発表できないが少なくとも10店舗以上にはなるという。組合員以外に共感してストに参加する店も出てくる可能性があると説明した。 

 また、「加盟店オーナーの中には、悪徳な者もいて社会保険等に従業員を加盟させていない者もいる。本部負担で社会保険等に加入させるべきだ」という見解を会見上で述べた組合員もおり、加盟店従業員の待遇を厳密に守り切れないオーナーも多々いる現状を語った。

 今年、2月に深夜営業を中止して「時の人」となった東大阪のオーナー松本実敏氏もテレビ電話で「参加」し激励を寄せた。松本氏は数年ぶりの健康診断に行くことが欠席の理由と言い、改めてコンビニ労働の過酷さを窺わせた。

■角田 裕育(ジャーナリスト)
1978年神戸市生まれ。大阪のコミュニティ紙記者を経て、2001年からフリー。労働問題・教育問題を得手としている。著書に『セブン-イレブンの真実』(日新報道)『教育委員会の真実』など。

最終更新:6/11(火) 14:02
ニュースソクラ

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