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悲しみに寄り添う場所に 小金井に「たまごの家」開設

6/13(木) 7:55配信

産経新聞

 大切な人を亡くした遺族の悲しみに寄り添い支える「グリーフケア」に取り組む一般社団法人「エッグツリーハウス」(練馬区)が今月、小金井市に拠点「たまごの家」を開設した。これまで活動拠点はなかったが、「ふと立ち寄れる場所を提供したい」と一軒家を借りた。名前には大切な人を亡くした人たちが穏やかに安心して過ごせる、温かい家にしたいとの願いが込められている。(斎藤有美)

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 「グリーフ」(悲嘆)とは、思慕や追慕と共に感じる大きな悲しみ、その苦しみから立ち直ろうと試みる心の動き。平成26年に公認心理師の西尾温文(あつふみ)代表理事(65)らがエッグツリーハウスを立ち上げ、これまでグリーフケアに取り組んできた。

 ◆自分の体験生かし

 西尾さんがグリーフケアの必要性を感じたのは自身の体験からだ。次女、百珠(ももみ)さんを平成10年に5歳で亡くした。1歳でがんの一種と診断され、骨髄移植を受け一時期回復したが、4歳の時に再発。百珠さんの腹は病気で膨らみ「もうすぐ赤ちゃん、生まれるかも」と話した。そうしたことからか、闘病中に「たまごのある木」を描いた。

 「ももちゃんが描いた絵がエッグツリーハウスの名前の由来です」

 西尾さんは遺族ケアの必要を感じてアメリカなどで研修を積んだ。48歳から勉強を始め、51歳で臨床心理士の資格を取得。30年間経営した学習塾をやめ、都内の大学病院でがん患者の心のケアを始めた。

 エッグツリーハウスの活動では都立小金井公園そばの真蔵院のお堂を借り、「たまごの時間」と名付けたケアのほか、都内などで若者を対象とした「たまごカフェ」や「グリーフケアキャンプ」など各種イベントを行ってきた。

 ◆ふと立ち寄れる

 だが、西尾さんは「悲しい気持ちを抱いた素の自分のままで、ふと立ち寄れる『家』が必要なのでは」と思い、真蔵院近くの一軒家を借りて「たまごの家」を開設させた。

 西尾さんは「大切な人を亡くした悲しい気持ちは時間が経てば解決できるものではない。必要な時に気持ちが整えられる場所のひとつになれれば」と話した。

 問い合わせはメール(egg.tree.house@gmail.com)まで。

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【用語解説】グリーフケア

 身近な人と死別して悲嘆に暮れる人が、その悲しみから立ち直れるようそばにいて支援すること。一方的に励ますのではなく、寄り添う姿勢が大切とされる。1960年代に米国で始まったとされ、日本では平成7年に発生した阪神大震災がグリーフケアの概念が広まるきっかけとなった。以降、医療機関や市民グループなどで実施されている。

最終更新:6/13(木) 12:12
産経新聞

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