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弘前大・大山教授ら がん治療の新薬剤で特許出願

6/12(水) 8:45配信

Web東奥

 弘前大学医学部の大山力教授(泌尿器科学講座)の研究グループは、量子ビームによる新しいがん治療法として有望視されている「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」で、効率的にがん組織に到達し、中性子との核反応によってがん細胞を効果的に破壊できる新しい薬剤(ホウ素製剤)の合成に成功し、特許を出願している。現在、弘前大理工学部の石山新太郎教授を中心とした研究チームが大山教授らと共に、青森県でのBNCT拠点化を目指して実験を進めており、新薬剤の開発は、プロジェクトを後押しするものとして期待されている。

 BNCTは、がん細胞に点滴によってホウ素を投入し、加速器で発生させた中性子ビームを当てることでアルファ線を発生させ、がん細胞をピンポイントで死滅させる方法。ホウ素はいわば「爆薬」、中性子は「火だね」の役割を果たす。

 約30年前から糖鎖とがん転移に関する研究を行ってきた大山教授は約5年前、七つのアミノ酸で構成される「IF7」というペプチド化合物に着目し、BNCTに利用できないか考えた。

 IF7は、弘大泌尿器科の畠山真吾講師と米国の研究所が約10年前に抗がん剤研究で開発したもので、がんに対する作用が限られていたため、いったん研究が休止していた。

 大山教授の研究グループは、IF7をホウ素に結合させマウスに投与したところ、従来のホウ素製剤より効率的にがん細胞に到達させ、がん細胞だけを効果的に破壊できることを突き止めた。昨年6月、特許を出願。現在、さらに実験データを蓄積している。

 従来のホウ素製剤は、効果を得られる一定の濃度に到達させるために、人に対して大量に投与する必要があり、4時間程度の投与時間が必要で患者の負担が極めて大きかった。しかし、新ホウ素製剤は、がん細胞を選んで入り込む「腫瘍組織集積性」が、これまでの薬剤より約600倍高いため、投与量・投与時間の短縮が見込まれる。

 石山教授らの弘前大の研究チームは数年前から、京都大などでBNCT実験を実施。本年度、六ケ所村の県量子科学センターで、中性子を発生させる加速器を使って動物実験を実施し、BNCTの有効性を検証する計画を立てている。将来的に、BNCT施設を青森県に誘致し、新ホウ素製剤を活用してBNCT治療を行うとともに、再生医療とリハビリとを組み合わせた新しいタイプのBNCTを目指している。

 大山教授は「BNCTに、新ホウ素製剤を活用することでがん細胞のみを集中的に治療することができ、非常に効果的で患者の負担が軽い新しいがん治療が実現する。まだ動物実験の段階だが、さらに研究を進め、青森県にBNCT設備を誘致することで、短命県返上を進める拠点としていきたい」と語った。

最終更新:6/12(水) 8:45
Web東奥

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