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「令和おじさん」人気で墨書のレプリカが早速登場

6/12(水) 10:00配信

産経新聞

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官が新元号「令和」の発表時に掲げた墨書のレプリカの一般公開が、国立公文書館(東京都千代田区)で始まった。実物は行政文書のためすぐには公開できないが、新時代の到来を象徴する“主役”を一目見たいとの声が多く、急遽(きゅうきょ)レプリカを用意した。墨書は大きな注目を浴び、菅氏が「ポスト安倍」の有力候補に浮上するきっかけにもなっただけに、同じ素材を使ったレプリカが関心の的となっている。

 6月初旬、同館に設置されたショーケースの前では人々が立ち止まり、じっと眺めたり、スマートフォンで撮影していた。飾られていたのは、新元号「令和」の墨書のレプリカだ。

 近くには典拠となった万葉集の一節を解説したパネルも設けられている。東京都江戸川区から訪れた男性(56)は「レプリカとはいえ、新時代を象徴する資料を見ることができ、感動した」と語った。

 公開されているのはなぜレプリカなのか。そもそも、実物は行政文書で、公開にあたっては最長30年の保存期間を必要とする公文書管理法に基づくルールが適用される。政府は墨書の保存期間を1年とすることを検討しているが、保存期間の起算日は文書作成日の翌年度の4月1日になるため、一般公開までは少なくとも2年かかる。

 このため、実物は現在内閣府で厳重に保管されており、人目に触れることはない。

 「新しい元号は『令和』であります」

 4月1日午前11時40分ごろ、墨書を掲げた菅氏の姿は新聞各紙の号外やテレビニュースだけではなく、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも瞬く間に拡散した。墨書は内閣府人事課の辞令専門職で「茂住菁邨(もずみ・せいそん)」の号を持つ書家でもある茂住修身(おさみ)氏が揮毫(きごう)。使われた和紙は、丈夫で劣化しにくい「奉書紙」が選ばれた。

 この会見直後から公文書館には「菅氏が掲げた『令和』の墨書はいつ展示されるのか」などの問い合わせが相次いで寄せられるようになったという。同館の担当者は「展示に関する問い合わせがこれだけあったのは珍しい」とも語る。

 政府は元号発表後、墨書を実際に見たいという声に対応するため、内閣府のホームページ(HP)に閲覧可能なPDFファイルを準備していた。これが「令和ブーム」により予想以上の反響を集めた。

 こうした声に素早く対応したのが菅氏だった

 「墨書が(公文書館に)移管されるまでの間、『令和』のレプリカを展示し、実物に近い姿を皆さんにごらんにいただけたら」

 5月15日の記者会見でこう提案した菅氏は、早速事務方に指示した。まもなく、同じ和紙などが使われたレプリカが作られ、同館での早期公開に至った。

 同館にはすでに「特定歴史公文書」として永久保存されている墨書がある。昭和64年1月7日、小渕恵三官房長官(当時)が掲げた旧元号「平成」の墨書だ。この墨書は小渕氏による発表後、行方が分からなくなっていたが、平成21年ごろ、元号発表時の首相だった竹下登氏の孫にあたるタレントのDAIGOさんがテレビ番組で「墨書は竹下家にある」と明かし、同館が竹下家に借用を依頼した。

 翌22年3月、墨書は同館に正式に寄贈された。劣化の恐れがあるため、普段はレプリカの展示に止めているが、天皇陛下の即位を記念した春の特別展(4月6日~5月12日)では実物が公開され、話題となった。

 ちなみにこの「平成」の墨書を掲げた小渕氏は「平成おじさん」と呼ばれ、国民的な人気を博し、後には首相の座をつかんだ。令和の発表役を務めた菅氏も小渕氏同様に知名度を上げ、「ポスト安倍」と呼ばれる存在となったが、本人は「(ポスト安倍は)全く考えていない」とそっけない。

 ただし、政府・与党内には「一気に本命に躍り出た」との声が上がる。平成で生まれたジンクスは令和も続くことになるのだろうか。(政治部 永原慎吾)

最終更新:6/12(水) 10:00
産経新聞

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