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罰則規定のない「パワハラ防止法」に効果はあるのか

6/12(水) 18:20配信

THE PAGE

 職場でのパワハラ防止を義務付ける法律が参議院で可決・成立しました。企業に対して相談窓口の設置や発生後の再発防止策について義務付ける内容ですが、罰則規定はなく、一部から効果について疑問視する声も出ているようです。

曖昧だった「パワハラ」を定義

 今回、改正されたのは労働施策総合推進法や女性活躍推進法など5つの法律ですが、法改正における最大の特徴は、パワハラについて「優越的な関係を背景にした言動で、業務上必要な範囲を超えたもので、労働者の就業環境が害されること」とハッキリ定義したことです。

 これまではパワハラはしてはいけないことであるとの認識はありましたが、何がパワハラで何がパワハラでないのかの線引きは曖昧でした。今回の法改正によって定義が定められたことで、企業内でも指針などが作りやすくなりました。より具体的な行為の判断基準については、現在、厚労省内で検討中ですが、叩く、殴るなどの「身体的な攻撃」、同僚の目の前での叱責といった「精神的な攻撃」、別室に移すなどの「人間関係の切り離し」、大量の仕事を押しつける「過大な要求」、業務上明らかに不要な仕事を与えるなどの「過小な要求」、家族に関する悪口を言うなどの「個の侵害」といった行為が該当します。

企業側の意向受け、罰則規定盛り込まれず

 大企業は2020年、中小企業は2022年から対応が義務付けられ、勧告しても改善が見られない企業については企業名が公表される見通しです。しかしながら、一部の専門家からは法律の効果について疑問視する声も出ているようです。その理由は法律に罰則規定がないからです。

 著名企業の場合、社名が公表されるとイメージなどに影響しますから、一定の抑止効果がありますが、こうしたイメージ悪化を気にしない企業の場合、罰則規定がない限り、十分な対策をとらない可能性もあるでしょう。罰則規定が盛り込まれなかったのは、適正な指導とパワハラの境界が曖昧であるという企業側の意見にも配慮した結果とされていますが、これには日本独特の雇用環境も影響しています。

 海外では、日本のようなパワハラは少ないとされていますが、それは企業が自由に社員を解雇できることが大きく影響しています。一定水準に達しない社員はいつでも解雇できるので、管理職がわざわざ社員を精神的に追い込む合理的な理由がありません。しかし、日本の場合、水準に達しない社員であっても解雇できないので、管理職の中には、精神的にプレッシャーを与えて何とか成果を上げようとする人が、一定数出てきてしまいます。

 そうだからといって決してパワハラが許されるわけではなく、罰則規定がないからといって、法律を守らなくてもよいということにはなりません。これからはプレッシャーをかける形でしか成果を上げられなかった管理職は淘汰されていくことになりそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/12(水) 18:20
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