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天安門後、「かき消された声」届けたい  日本で活動する中国人作家 劉燕子さん

6/13(木) 6:12配信

47NEWS

 中国の天安門事件から30年がたった。「人民解放軍」が守るはずの「人民」を銃と戦車で弾圧したこの事件後、政権批判や改革を求める国内の声を、中国共産党は徹底して封じ込めてきた。中国でかき消されてきた人々の主張や活動を本にまとめ、日本で紹介している研究者の一人で、大阪在住の中国人作家劉燕子(リュウ・イェンズ)さん(53)に事件30年に際し、話を聴いた。(共同通信)

 ▽缶バッジを作っただけで捕まる!

 何かのイベントやキャンペーンで記念品として配っていそうな缶バッジを見せてくれながら、燕子さんは「これを作っただけで中国では捕まるんです」と憤る。缶バッジには、広げた手とハートの絵、「権利」「尊厳」「人はみな生まれながらに平等」と中国語で書かれている。

 天安門事件につながった民主化運動の元指導者で、ノーベル平和賞受賞者の劉暁波(りゅう・ぎょうは)さんが2017年夏、当局の拘束下に置かれたまま事実上獄中死した。「いきなり病気だという話が出てきて、ほんとかな、とみんなで思っていたら突然亡くなっちゃった。元気で鉄の塊みたいな人だったのに…」と振り返る。

 缶バッジは、中国で暁波さんを追悼する小さな集いを開こうとした人が、その集まりで配ろうとして作ったものだという。通信アプリ「微信(ウェイシン)」上で集会の告知をしたことから拘束され、集まりは頓挫した。海外のニュースに取り上げられるような有名な人権派弁護士や活動家だけでなく、そうした一般の人々も近年、相次いで拘束されていると燕子さんは訴える。

 「『民主』も『自由』も日本では空気みたいな当たり前の存在です。目に見えないが欠かせない、人として当たり前のもの。でも中国にはそれすら存在しない」。中国で、その「当たり前」を求める声は少数派だと燕子さんは言う。「周囲の騒がしさにかき消され『声に出せない歴史』『目に見えない歴史』にされてしまうのです」

 ▽中国の人々は壁の中で飼いならされている

 普通選挙を求めたり民主化を叫んだりすることは、政権にとっての越えてはならない一線だ。それにさえ近づかなければ、昔はなかった職業選択や海外渡航の自由を享受できる。実際、生活もずっと豊かになった。体制改革を望む人々の目に希望の光と映ったインターネットの登場も、現実には情報統制の「壁」をさらに強固にしただけだった―。

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最終更新:6/13(木) 15:09
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