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日本郵政、成長戦略どう描く 政府の持ち株比率「3分の1超」へ着々も

6/13(木) 7:16配信

SankeiBiz

 政府が57%保有する日本郵政株式の追加売却をめぐり、大和証券など6社が先月末、主幹事証券会社に決まるなど、売却手続きが着々と進んできた。今秋にも売却が完了すれば、政府の持ち株比率は「3分の1超」まで下がる見通し。日本郵政への国の関与が薄まって経営の自由度は高まり、民営化のプロセスが大きく前進する。だが、郵政民営化法で定められている傘下の金融2社の売却を見据え、成長事業を育成する長期戦略までは描き切れていない。

 ◆「見える風景変わる」

 「(実際には)3歩目だが、国が5割を切るというのは大きな一歩ではないか」。日本郵政の長門正貢社長は政府の株式売却の影響についてこう語る。

 政府による日本郵政株の売り出しは2015年に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が同時に上場した1回目、17年の2回目に次ぐ3回目。郵政民営化法では政府の持ち株比率をできる限り早期に3分の1超まで減らすよう規定しており、今回で最終売却になる見込みだ。

 「5割を切れば見える風景が変わる」と長門社長は繰り返す。念頭にあるのは、旧電電公社が民営化したNTTや旧専売公社が前身のJTだ。

 民業圧迫-。政府が大株主の日本郵政には、この言葉が常につきまとう。国家の信用を背景に、有利な事業展開ができるからだ。ゆうちょ銀とかんぽ生命は日本郵政が89%の株を保有しており、いわば半官半民。ゆうちょ銀が預入限度額を従来の2倍の2600万円に拡大した際には、銀行業界から猛反発を受けた。NTT子会社のNTTドコモなどとは大きく状況が異なる。

 政府の日本郵政株の売却が完了すれば、持ち株比率はNTTやJTとほぼ同水準になる。「反発の声が弱まってくれるのではないか」(長門社長)との期待は強い。

 もっとも、国の関与が薄まったからといってNTTやJTのように成長軌道をたどれるかは展望できていない。NTTは携帯電話やデータビジネスなどを抱えるが、日本郵政には現状、こうした成長事業が見当たらないからだ。

 完全子会社の日本郵便は足元で宅配便「ゆうパック」が好調だが、人手不足が足かせだ。法律で義務付けられた全国一律のユニバーサルサービスの維持も難しくなっている。金融2社も長引く超低金利で運用利回りの減少に悩まされている。

 ◆M&A案件選定進む

 追い風は民営化が進んで経営の自由度が高まることだ。日本郵政は、M&A(企業の合併・買収)などで将来の成長事業の取り込みに注力する。昨年12月には、米保険大手アフラック・インコーポレーテッドに出資することを決めた。5月には、大和証券グループ本社と資産形成分野で提携。M&Aでは次なる案件の選定も進めており、長門社長は「物流、銀行、保険とシナジーのあるところがまずは直接的なターゲットになる」と語る。

 日本郵政は4月上旬に89%を出資するかんぽ生命の株式を売却し、出資比率を65%程度に引き下げると発表した。金融2社には、一般の銀行や保険会社より厳しい「上乗せ規制」が課されているが、50%以下に売却が進めば緩和され、経営の自由度はさらに高まる。

 郵政民営化法で、日本郵政は利益の大半を頼るゆうちょ銀とかんぽ生命の株式をいずれはすべて売却するよう定められている。今回、かんぽ生命の株式売却で出資比率を一気に50%まで下げなかったのは「厳しい経営環境が続くので慎重にみた」(長門社長)からだ。金融2社に依存しない収益構造を築き、グループから切り離すにはさらなる成長戦略が必要で、まだしばらく時間を要しそうだ。(万福博之)

最終更新:6/13(木) 7:16
SankeiBiz

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