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米雇用統計悪化、「6月サプライズ利下げ」もなくはない。1ドル=105円も視野に

6/13(木) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

金融市場は米政権によるメキシコからの全輸入品に対する関税発動見送りを好感し、とりあえずは安堵の空気が拡がっている。

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だが、その方針がトランプ大統領より示された2019年6月7日にはアメリカの5月の雇用統計が発表されており、その結果がかなり悲惨なものとなったことを捨て置くわけにはいかない。

「対メキシコ関税見送り」より「悲惨な雇用統計」 こそ重要

後述するように、いつ再発するか分からない対メキシコ関税問題の収束よりも、市場予想を大きく下回る結果になった雇用統計の現状と展望の方がよほど心配である。

だからこそ景気の先行きを(為替・株式市場よりも)慎重に見る債券市場では、米金利の低下が進んでいるのだろう。すでに米10年金利と3カ月金利の「逆イールド」(長期金利が短期金利を下回る逆転現象)化は3週間に及んでおり【図表1】、少なくとも債券市場では、「金融引き締め→金融緩和」という局面変化の到来がいよいよ現実味を帯びてきたように思える。

いつ再発するか分からない「メキシコ騒動」

米経済に打撃を与えかねない「メキシコへの関税見送り」は確かに良い材料だが、少なくとも2つの不安がある。

第1に、今回の騒動を通じて「通商と無関係のトピックであっても関税で脅迫して戦果を得る」というアプローチが「あり」だということになってしまった。

そもそも不法移民の流入数と関税の水準の間には何の因果関係もない。にもかかわらず、メキシコはあっさり譲歩してしまった。

今後、別の国(日本かもしれない)が同じようなアプローチを食らう恐れが出てきたという意味で、不透明感は増したのではないか。とりわけ企業はそのように考える向きが多いと推測する。

日計りの動きを繰り返す金融市場と異なり、民間企業の投資行動はより慎重を期して行われる。今回のメキシコ騒動は企業のリスク許容度を毀損した疑いが強く、メキシコに限らずアメリカと通商関係でもめそうな地域への投資計画は逡巡せざるを得ないだろう。

一口に「不透明感」と言っても、企業のそれは市場よりも粘着性が強く、払拭は容易ではないと考えられる。

第2に、アメリカへの不法移民流入を防ぐためにメキシコが打ち出した今回の施策が実効性を持たなかった場合、トランプ大統領は間違いなくまた同じことをやるだろう。

実際、メキシコからアメリカに入る不法移民よりも、それ以外のルートから入ってくる移民の方が多いという指摘が目立つ。今回の一件については、そもそも移民問題で強く出られない米議会がトランプ大統領を制止することができなかったという側面もある。やはり再発性の高いトピックと考えた方がいいのではないか。

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最終更新:6/13(木) 12:10
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