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SIRUP「音楽は第三者の認識に訴えかける媒体」意識の源流に迫る:インタビュー

6/13(木) 11:11配信

MusicVoice

 ミュージシャンのSIRUPが5月29日に、自身初となるフルアルバム『FEEL GOOD』をリリースする。2018年8月発表の『SIRUP EP2』はiTunes/Apple R&Bチャートで1位を獲得、収録曲の「Do Well」はHondaのCMソングに起用された。シンガーソングライター・KYOtaroとしての活動からSIRUPに改名し、サウンド面・歌唱面ともに新境地がコンパイルされた本作。自然体な意識を向けられた本作は現代版のソウルミュージックとしてアップデートされ、聴き手の耳を優しく包む。さまざまな音楽的バックボーンがブレンドされつつ、独立した音楽性を持つSIRUPのサウンド、意識の源流に迫った。【取材=平吉賢治/撮影=木村陽仁】

「これは名前を変えるタイミングなんだな」

――SIRUP作品の『SIRUP EP』『SIRUP EP2』からの楽曲も収録されている本作ですが、それ以前はKYOtaro名義での活動でしたね。SIRUPとしての活動に移行し、ラップをやり始めたのはSIRUP名義からでしょうか?

 色んな流れがあったんですけど、基本的にはそうです。SIRUPという名前で活動し始めたのは1年半くらい前からです。

――ラップを取り入れたという点がKYOtaro名義とSIRUPとの大きな違いだと思われますが、他にはどういった変化がありましたか?

 特にそこまで大きな違いはないんですけど、名前を変えたときKYOtaroとしては10年目くらいだったんです。何となく自分でも名前を変えたいと思っていた時期と、サウンドは基本的にそのとき自分がやりたいことをやっていたんですけど、内容として土台の歌がラップっぽいものを作りだしていた時期でして。それってターニング・ポイントだなと思って名前を変えたいなと思ったときに、スタッフからも同じような打診を受けて「これは名前を変えるタイミングなんだな」と思ってすんなり変えた感じです。

――ごく自然な流れだったのですね。SIRUPさんの音楽的バックボーンは?

 一番最初のルーツでいうとスティーヴィー・ワンダーやアリシア・キーズの2人で、そこからそういう音楽にどっぷり浸かっていたという感じです。

――ソウルやHIP HOPがバックボーンにありながらも、どの年代の音楽、どのアーティストに影響を受けている、といった点が出ているのではなく、現代版のソウルミュージックとしてアップデートされているサウンドだという印象を受けました。

 そうですね。あくまで音楽は知識でしかなくて。自分の音楽に取り入れるときにわかりやすく出すということはあまりないですね。ただ、コード感としては90's的な雰囲気はわりと多いかもしれないです。HIP HOPに関してもオールドスクールなものはあまり聴いていないので…好きで本気で聴きだしたのはチャンス・ザ・ラッパーくらいからなんです。それまで聴いていたとしてもコモンとかネオ・ソウル界隈で、サウンド重視で聴いていました。

――ソウル、HIP HOP、エレクトロなど、どこかに偏っているわけではなく、ハイブリットな感じがするんです。

 自分が一番聴いてきたのはソウル、ネオ・ソウルなんですけど、その時期にそれしか聴いていないというわけではなくて。その時々で新しい音を聴いたり、ロックも聴いたりとか。色んなものを聴いて「イイ」と思ったものをとりあえず全部聴いていたんです。だから確かにそうかもしれないです。

■本当の意味での「レコード=記録」

――今作『FEEL GOOD』、それ以前の『SIRUP EP』や『SIRUP EP2』を聴いて、ソウル系以外のさまざまな音楽を聴いている方だなと楽曲から感じました。

 平行線で他の音楽もずっと聴いていたんです。僕は「スティーヴィー最高」という時期がありながらも、同時にJ-POPの「イイな」と思った歌もずっと聴いたりして。

――細かいアレンジ面や歌詞の言い回し、ラップのフロウなど、あらゆる面からそういった多角的な音楽の捉え方をしていると感じられます。今作は、音のエッセンスは何を基調にしていますか?

 「こういうサウンドがやりたい」「これを基調に」というのは全くなくて。基本的に「イイな」と思った曲、トラックなど、そういうのが仲間から届いたらやるという感じですかね。

――「今作はソウルのアルバムを作る」などの明確なテーマから生まれたものではない?

 基本的にそうですね。コンセプトを決めてアルバムを作るということはまずないんです。等身大の自分を常に出していくうえで、自然体であることを基調にしているので、テーマを決めちゃうとそっちに自分をもっていかないといけなくなるので。そういうのが得意じゃなくて…『SIRUP EP』も『SIRUP EP2』もそうなんですけど、そのとき自分がやりたいサウンドで、そのとき自分が思っていることを素直に出していくという作り方で、今作もそうなんです。本当の意味での「レコード=記録」というか。

――そういった「意識していない意識」が楽曲に表れていると思います。自然体での制作がそうさせたのか、全体的に品性を感じ、凄く耳とハートが喜ぶ音楽という印象なんです。それは純粋に「イイな」と思ったものを自然にアウトプットする体制がないと難しいですよね。

 常にそうしているかもしれないですね。気持ちやメッセージから自然に呼び込まれて出来るものの方が良いなと思って。だからフェイクとかも全く決めずにレコーディングに行って。ライブのときもその時々で気持ちが全然違うので、できるだけそのときの自分を大事にしています。

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最終更新:6/13(木) 11:11
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