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「Jが行う」から「Jをつかう」へ/村井満コラム

6/13(木) 8:08配信

日刊スポーツ

<コラム・無手勝流 村井満>

ビジネス界出身ながら世界水準のリーグを目指して3期6年目の村井満チェアマン(59)が、日刊スポーツで執筆中のコラム「無手勝流(むてかつりゅう)」。今回のテーマは「地域密着」。Jリーグ誕生時に掲げた「地域密着」の概念は着実に浸透し、新たな関係性を構築すべく「Jリーグをつかおう!」プロジェクトを実施しています。村井チェアマンが考える「地域密着」の概念とは-。

【写真】神戸イニエスタ

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5月15日は「Jリーグの日」。川淵三郎初代チェアマンが開幕宣言とともに掲げた「地域密着」という概念は、きわめてシンプルでありながらも、日本スポーツ界の新たなフェーズ(局面)の始まりを強烈に印象づけました。その後、プロ野球の球団名に地域名が追記されることや、バスケットのBリーグや卓球のTリーグなど地域に根づいたプロスポーツクラブが数多く作られることにもつながります。その考えは26年たった今でも色あせることなく、むしろ輝きを増しているとさえ言えます。

26年後の今、我々Jリーグは「地域密着」の概念に新たなコンセプトを加えています。それが「Jリーグをつかおう!」プロジェクトです。これまでJリーグの各クラブはホームタ

ウン活動と称し、選手による学校訪問や清掃活動、お年寄りの健康増進サポートなど、年間約2万回の地域貢献活動を実施してきました。1クラブあたり年間390回にも及びます。これは各クラブが地域に対しての存在感を示すうえでは非常に重要なものでした。しかしながら、この回数を増やすには限界もあります。

これからは、Jリーグやクラブが育んできた健康な体づくりのノウハウや、各スポーツ施設、社会的な発信力などの資源を世の中の方々に開き、使っていただき、ともに未来を創造していこうと考えたのです。「Jリーグがおこなう」から「Jリーグをつかおう!」という、主語の転換です。Jリーグが“手段”になるのです。

今年の5月15日には「Jリーグをつかおう!」第1回ネットワークミーティングを開催しました。この日参加した190人あまりの顔ぶれはJリーグ、Jクラブの人間のみならず、NPO団体、企業、行政機関の職員など実に多彩。そこでは、社会のために実現したいという夢を持ち寄った人々が車座になって、さまざまなアイデア交換を行いました。そこから、誰もが気軽に訪れ楽しめる「発達スタジアム」、ホームタウンのバリアフリーマップ作成など、いくつもの新しい構想が生み出されました。

この活動の究極の目的は、より良い地域社会を創るために「自ら一歩を踏み出す仲間」を増やすことだと考えています。新たな主語となる仲間づくりです。要望したり要求したりする関係ではなく、できることを持ち寄る関係です。

サッカーは自ら一歩を踏み出すことがすべての起点になるスポーツだと考えています。前後左右360度どちらに仕掛けてもいいのです。イニエスタ選手などは、時に空間を使ったパスを繰り出します。どんなパスなのか、それともドリブル、シュートなのか、判断は選手に委ねられます。そんなサッカーだからこそ「自ら一歩を踏み出す仲間」とは、とても親密な関係を築けるように思うのです。(Jリーグチェアマン)

最終更新:6/14(金) 17:14
日刊スポーツ

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