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Surfaceのデザイン哲学 -“使うこと”を気にしないデバイスを

6/14(金) 18:39配信

マイナビニュース

米マイクロソフト デバイスデザイン部門のラルフ・ゲローネ コーポレートバイスプレジデントが、マイクロソフトのファーストパーティーデバイスである「Surfaceファミリ」のデザインコンセプトについて説明した。

【写真】Surface Studio、Surface book 2、Surface Laptop 2など


Surfaceファミリーの製品群


米ワシントン州レドモンドのマイクロソフト本社で行われた説明会で、グローネ コーポレートバイスプレジデントは、「どんな人が、どんなところでも利用できることを前提として開発している。それは、音楽を奏でるときに、楽器を気にしないで済むのと同じように、使うことを気にしないデバイスをデザインすることを目指したもの」などと語った。また、Surface HeadPhonesについては、「3年の歳月をかけて作った。人がどんな環境で仕事をしているのかを考えて開発した」と位置づけた。

ゲローネ コーポレートバイスプレジデントは、Surfaceファミリのデザインについて、「Surfaceのデザインチームは、当初は少人数でスタートしたハードウェアだけの部門であった。だが、いまはソフトウェアまでを含めた体制になっている。ハードウェアは、ソフトウェア部門のひとつだと考えている」としながら、「音楽を演奏する場合、最初は、楽器をどのように持つのかというところから考えるが、音楽を演奏しはじめると、楽器のことは考えなくなる。自然のものとして演奏ができるようになっているからだ。だが、楽器の使い勝手が悪いとそのことを考えなくてはならず、演奏に集中できない。それと同じで、仕事の生産性をあげるためには、そこで使用するデバイスは、音楽を奏でるときに楽器を気にしないのと同じように、使うことを気にしないで済むデバイスとしてデザインする必要がある。Surfaceは、それを目指したものになる」と、Surfaceの基本姿勢について説明した。

その上で、「壮大な音楽を奏でるために何種類の楽器が必要であるのと同じように、Surfaceには、様々なデバイスを用意している」と語り、Surfaceファミリのそれぞれの製品におけるデザイン面でのこだわりについて触れた。

Surface Goについては、「購入しやすい価格であり、軽量化を実現していながらも、Surfaceに求められる機能をすべて入れている。小さくて、軽くて、自転車での移動でも気にならない。私は、自転車に乗って、途中でアイデアが浮かんだら、スケッチをしたり、テキストを入力したり、ネットにアクセスしている」とし、「仕事の一日の流れを考えたり、同僚とのやりとりといった具体的なシーンを考えて開発した。オフィスで仕事をするだけでなく、その環境とは異なるシーンで利用する場合にも最適化した設計を目指した」などとした。

Surface Pro 6は、「Surfaceファミリが提案した2in1カテゴリーを牽引するデバイスである」と位置づけ、「とくに角度を自由に調整できるキックスタンドは、完璧なものを作り上げた。それぞれのユーザーにとって使いやすい角度や、使う環境に応じて最適な角度に変えることができ、ノートPCモードやStudioモードで利用できる。そして、タブレットモードとしての利用も可能であり、キックスタンドを閉じたときにも軽量で持ち運べる。キックスタンド部に使用している素材は、アルミニウムと同じ機能性があり、薄型にできる特徴を持つ。完璧なものができたと自負している」と述べた。

さらに、「キーボードは、ヒューマン・ファクター・エンジニアリングにより開発。キータッチの様子を撮影して、これをスロー再生しながら、どんな形でキーに指がタッチしているのか、どんな形でタッチすることが最適なのかといったことを検証している。指が触ったときにホールド感がある形で入力ができ、正しい量のトルクによって入力が可能になる」としたほか、「Surface Proに使用しているSurfaceタイプカバーは、手触りがあり、頑丈性を持った素材を採用している。これは、ポリエチレンによる加工が施され、BMWをはじめとする高級自動車にも採用されているものだ」とした。

Surface book 2については、「Surfaceファミリのなかで、最もパフォーマンスが高い製品として開発したものである。高性能のCPUとともに、外部GPUを搭載。圧倒的なコンピューティングパワーを実現している。写真家などからも高い評価を得ている」と説明。

「画面を取り外して、反対向きに取り付けて、これを倒すとタブレットとしても利用できる。実は、こんな使い方をする人がいるのかと思っていたが、学生やエンジニアなどが、メモをとらくてはならない場合に、こうした使い方をしていることがわかった」という。

Surface Studioについては、「アイデアを形にするときには、大きなスケッチブックのような画面が必要である。また、CADを利用する場合にも大きな画面が必要であり、そこでキーボードとマウス、ペンを利用できることが大切。そのための製品がSurface Studio。角度を変えて、テーブルのように使ったり、方向を変えたりといったことが自由にできる。最初は、ハエが止まっただけで、力を与えることなく、ディスプレイが動いていたが、これでは軽すぎるので、トルクをつけることにした。また、電源コードが抜けないような工夫もしている」と述べ、「マイクソロフトのデザインチームもこれを使っている。そして、F1レーサーのルイス・ハミルトン氏も、Surface Studioをピットのなかで使っており、ピクサーのデザイナーたちもSurface Studioを使用している」などとした。

Surface Laptop 2に関しては、「なぜ、マイクロソフトが、多くのベンダーが競合しているクラシックフォームファクターのラップトップをデザインしようと考えたのか」と振り返りながら、「この分野で各社が追求しているのは、コネクタの数や機能の数であったが、Surface Laptopは、それらとはアプローチの仕方を変えている。原点としたのは最もパーソナルな機器を作るということであった。どこでも使え、どこでもやりたいことがすぐにできるという点であった」とする。

それを実現するために、液晶を開くとすぐにオンになる機能や、Windows Helloによる認証を可能にする一方で、スピーカーを見えないところにおき、指紋リーダーなどを排除したことを紹介。「本質的に求められるものだけを入れた。高度な機能はないが、タッチスクリーンでのペン対応も可能とし、キーボードも美しいデザインを採用した。筐体はプラスチックや金属のような冷たさがなく、高級車のハンドルのように暖かく使いやすく素材を採用した。学生にも人気があり、人々をひきつける魅力的なデバイスに仕上がっている」と自信を見せた。

日本でも、2019年1月から発売したSurface HeadPhonesついては、「3年の歳月をかけて作ったものである」とし、「人がどんな環境で仕事をしているのかということを考えた場合、大きな部屋で、集中して仕事をしたいときに、ヘッドホンが必要であることに気がついた。仕事に最適化したデザインをしており、ノイズキャンセル機能により、周りの音を聞こえなくし、コミュニケーションをしたいときには、外の音が聞こえるようにした。これらの操作は、耳の横のダイヤルを回せばいいという自然な操作で使えるようにしており、ダイヤルを回す際にも不快な音がしないように、精密にデザインしている。また、指向性を持ったマイクを搭載しており、音質を安定化させるためにマイクを本体に内蔵している。持ち運びがしやすいように軽量で、一日つけても大丈夫であり、めがねをかけている人にとっても着け心地がいい」とした。

こうしたSurfaceファミリのそれぞれの特徴を説明する一方で、Surfaceファミリ共通のこだわりについても説明した。

「Surfaceは、より速く、より軽量であることを目指し、どのサイズのスクリーンが必要なのか、多くの人が持っているバックパックの大きさに最適なものは何かといったことも考慮してデザインをしている」としたほか、USB Type-Cがすべての機種に搭載されていないことについては、「人は、最新技術の活用に遅れている場合があったり、これまでの技術を多くの人が使っているケースがあったりする。そして、最新の機能がいいとは限らない。米国、日本、ドイツといった世界各国のマーケットから声を聞き、いま、どんな技術が使われているのかということを謙虚にとらえ、ユーザーに対しては、『これを使えばいい』というように押しつけることはしない。デザインをする際には、こうした点に気をつけている。料理と同じように、最高の食材だけを入れればいいというものではなく、バランスを取りながら、食べる人のことを考えて調理する必要がある」と説明した。

また、「Surfaceの充電コネクタは、子どもや犬などがコードにひっかかっても、本体がひっぱられるといった影響が出ないように、磁石によって外れるようになっている。これは、Macbookのやり方を踏襲したという人もあるが、実は日本の家電メーカーが発売した炊飯器からヒントを得ている」と説明した。

キックスタンドを採用した2in1のデザインは、Surfaceが作り上げたものであるが、これについては、ユニークなエピソードを明かしてくれた。

「開発チームは、当初、タブレットを作っていた。だが、2010年にはアップルがiPadを発売しており、タブレットとしての機能だけでいいのかという議論が始まった。そこで、ラボでは様々なものを考え、そのなかのひとつにキックスタンドがあった。だが、一度はアイデアが生まれたものの、2~3週間もの間、保留された期間があった。ところが、ここにキーボードをカバーのような形で取り付けるのはどうかという発想が加わり、再び、キックスタンドを検討することになった。これを、上司や経営幹部に見せたところ、予算をつけて製品化することが決定した。社内からも、これがあれば、ノートパソコンはいらなくなるという声もあがった。アイデアが進化したことで製品化したのがSurfaceである」という。

また、「自由な角度に調整できるキックスタンドを作り上げるまでに、2年半近くの歳月を費やした。最初は、十分なものではなく、2つのポジションしか角度が調整できなかった。様々な角度で使えるようにするためには、構造の工夫だけでなく、トルクの調整が難しかった。時間はかかったが、完璧なものができた。だが、これも日々改良を続けている」と結んだ。

大河原克行

最終更新:6/18(火) 9:28
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