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花澤香菜&河森正治とゆく「河森正治EXPO」。アクエリオン、パンドーラ…いま振り返り何想う?【インタビュー】

6/14(金) 18:15配信

アニメ!アニメ!

『マクロス』シリーズや『アクエリオン』シリーズなどで知られる河森正治監督のプロデビュー40周年を記念する展覧会「河森正治EXPO」が、5月31日より東京ドームシティGallery AaMoにて開催中。
EXPO内は、これまで携わった数百点以上におよぶデザイン画、絵コンテ、アイデアノートなどが展示され、“河森ワールド”全開の空間が展開。さらに「K-40シアター」では、河森監督の世界観を独創的な映像で表現した限定映像も上映されています。

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今回、そんなEXPO内を河森監督、そして『バスカッシュ!』(2009年)のココ・JD役や『アクエリオンEVOL』(2012年)のゼシカ・ウォン役、『重神機パンドーラ』(2018年)のクイニー・ヨウ役で河森作品に声優として出演した花澤香菜さんと共に巡ってみることに。

その中で、河森監督が作品と共に駆け抜けた40年を振り返るだけでなく、『バスカッシュ!』『アクエリオンEVOL』『重神機パンドーラ』で、なぜ花澤さんがそれぞれ全く違うタイプのキャラクターを演じることになったのか、裏話も次々と明らかになりました。

すでに足を運んだ方も、これから行くという方も、これを読めばまたすぐに「河森正治EXPO」に行きたくなる、そして河森作品を見返したくなるはず。ぜひ存分に“河森ワールド”を堪能してみてください。
[取材・構成=米田果織]

■河森監督、花澤香菜を抜擢した理由とは?

「河森正治EXPO」の模様【画像クリックでフォトギャラリーへ】

会場に入り真っ先に目に入ってくるのが、壁一面に描かれた、監督がこれまで関わった作品のタイトル。
さらに、その通路を抜けた先には、メインパビリオンが広がっています。中央部には、河森作品に登場するキャラクターたちがズラリ。そこには、花澤さんが担当した『重神機パンドーラ』のクイニーの姿も。

「河森正治EXPO」の模様【画像クリックでフォトギャラリーへ】

強さを追い求めるクールな拳法使いという、これまでのキャリアの中であまり演じたことのなかったタイプなキャラクターだけに、演じる際は「かなり悩んだ」という花澤さん。


花澤:「天然かつ最初からめちゃくちゃ強いキャラクターって、どういう風に演じればいいんだろう?」と悩んだ挙句、映画『ワンダーウーマン』を観に行きました。でも、ちょっと違う感じではあったんですけど……(笑)。毎回アフレコでは試行錯誤していたのを思い出しました。思い返すと、私は河森監督の作品では全部違うタイプのキャラクターを演じているんですよね。

河森:強いキャラクターを強い声の人が演じると、“そのまんま”になってしまうので。そうじゃなくて、“強く振舞っていながら、何かを秘めている”という部分を花澤さんには出していただきたかったんです。
花澤さんは、最初に出ていただいた『バスカッシュ!』でココを演じていただいたからこそ、ゼシカやクイニーという真逆な役をお任せしようと思った記憶があります。実力のある人はぜひ違うパターンの役をやってほしいと。

花澤:光栄です……!『アクエリオンEVOL』に出させていただいた当時は、けっこう大人しい役を演じることが多くて、そんなイメージがついてしまっていたこともあると思うのですが……。なので、ゼシカちゃんを演じさせていただけることになった時は本当にびっくりしたことを覚えています。
私の声優人生のいろんな部分を切り取ると、河森監督作品に繋がっているんだなと改めて実感しましたね。

「河森正治EXPO」の模様【画像クリックでフォトギャラリーへ】
河森監督が生み出した膨大な量の資料やデザイン画などが展示されたクリエイティブパビリオン内の『アクエリオンEVOL』コーナーでは、しきりに「懐かしい!」「アフレコを思い出すな~」と収録していた当時を思い出してしみじみした表情を浮かべていた花澤さん。
特に思い出に残っているのは、あの“告白シーン”だと言います。

花澤:ああいうポジションのキャラクターって、どうしても恋が実らないじゃないですか(笑) でも、自分の気持ちをちゃんと伝えられて、演じている身としても感動しました。


『アクエリオンEVOL』の展示では、その告白シーンについて花澤さんからの直筆コメントも! ぜひチェックしてみてください。

■ボツ作品だけで会場が埋まる?苦悩した過去も…
「河森正治EXPO」の模様【画像クリックでフォトギャラリーへ】

実は、EXPO内に展示されているフィギュアやメカ、資料などはほんの一部。全部を展示するには量が多すぎて、選ぶのにかなり時間がかかったといいます。
また、EXPO開催をきっかけに資料を整理している際には、「やはり色々と思い出すことがありました」と河森監督も感慨深げ。

河森:日々、複数の作品作りに追われていることもあって、改めてこうやって作品について振り返る機会はなかったので、出てくるたびに「あぁ、こんなことあったなぁ……」と去来することもありました。本当にたくさんの人に支えられて、ここまでやってこれたんだなぁ、と。

今回、展示の中には未発表の企画資料も多数。そこには、河森監督の苦悩の歴史もあったそう。

河森:(企画書を)書いたんだけど、世に出ないっていう作品が多発した時期があるんですよね。10本ぐらい企画として出しても、1本しか通らないこともありました。未発表のものだけでもこのEXPOが埋まるくらいありますね。今回の資料整理にあたって、そんなボツになってしまった企画についても思い出して、少し胸が痛んだりもしました。若い頃はオリジナリティにこだわり過ぎていて、ちょっとでも似た作品が出ると「もう創れない」って言ったりとか(笑)。

苦労した中でも、「たくさんのスタッフに支えられて、たくさんの作品を生み出すことができた」と顔をほころばせる河森監督。この「河森正治EXPO」というタイトルにも理由があるようで……?

河森:最初は「河森正治展」みたいなタイトルだったのですが、なんか納得できなくて。個人展というには、“集団創作なのになぁ”という引っ掛かりがあって、そんな時、
子どもの頃に行った大阪万博のことを思い出して、EXPOにすることになりました。


資料などの展示ももちろんですが、EXPOの目玉はもう1つ。直径約10m、高さ約5mの全天周シアター「K-40ドームシアター」では、河森監督作品のキャラクターや数々のメカが競演し、力を合わせて戦うという新作映像を見ることができます。

さらに、監督作品ならではの、特徴ある“セリフ”もパワーアップ。「字で読んでいる分には良いんですけど、これは言葉(セリフ)として読む時にどうすればいいんだろう!? とアフレコでは何度も悩まされましたね(笑)」という花澤さん。
印象に残っているセリフを聞いてみると……。

花澤:たくさんあるんですけど……やっぱり『アクエリオン』「気持ちいい~」かな(笑)。

河森:あれは感覚が拡張することが“気持ちいい”ということですからね。自分にはない、他の人の力が中に入り込んでくることが気持ちいいということです!そうじゃない意味で解釈してしまう人は、その人が勝手に感じていることですから(笑)

360度の迫力ある映像の中で、パワーアップした数々の名言を聞けるというだけあって、「K-40ドームシアター」は必見!
なお、こちらを観覧するにはドームシアターつきチケットを用意するか、当日会場にて観覧チケットを購入する必要があるためご注意ください。

■10年経って現実となった“ヴァーチャル・アイドル”など、河森監督の発想力はどこから?

「河森正治EXPO」の模様【画像クリックでフォトギャラリーへ】

数々のヒット作を生み出す河森監督。独創的なセリフだけでなく、変形するメカ、10年も前から考えていたヴァーチャル・アイドルなど、その発想力はどこから来ているのでしょうか?

花澤:EXPOを回ってみても、全然わからなかったです。展示内に河森監督の机も再現されていましたが、“地球の歩き方が置いてあるなぁ”くらいしかわからなかった(笑)。
そういえば! 以前、河森監督とご飯を食べさせていただいた時に、世界の面白い人たちのお話を聞かせていただいたことがあります。インドで出会った人とか、中国の特殊能力を持った人たちの話とか。そういうところから発想力が湧いてきているんですかね?

河森:それもあると思います。また、“世界の謎を解き明かしたい”というのが原動力になっているのかもしれません。自分が考えられる範囲を飛び出した、未知のことに出会えることが楽しいんですよ。
これはよく話していることなんですけど、『マクロスプラス』を作っていた頃、ヴァーチャル・アイドルの「シャロン・アップル」に向かって観客が大熱狂している様子を絵コンテに描いていたら、「こんなバカなこと起こるわけねーじゃん(笑)」ってさんざんスタッフに言われたんです。それがほんの10年後には実現するというのは、さすがに自分でも予想がつきませんでした。

「河森正治EXPO」の模様【画像クリックでフォトギャラリーへ】

河森監督の枠に捕らわれない考え方、そして、未知との出会いに敏感な部分が、発想力や新たな作品へ繋がっているのかもしれません。河森監督がこれから生み出すであろう作品に思いを馳せつつ……改めて2人にEXPOの見どころを語っていただきました。

花澤:私自身「河森正治EXPO」が開催されると聞いて、すっごく楽しみだったんです。監督の作品は価値観にとらわれないものばかりなので、どれだけはみ出た展示になるんだろうと。実際に回らせていただいたら、予想をはるかに超えていました……!

そして、一度じゃまだまだ見足りない。見返したいところがいっぱいあります! なので、皆さんにはじっくり見ていただきたいです。おそらくEXPOを見終わった後は、「あの作品見返そう」とか、「あの作品まだ見てなかった!」という思いがたくさん出てくると思います。

河森:展示をしっかり見ていただくとすると、資料など読み込んでいたら、もしかしたら1日じゃ終わらいくらい時間がかかると思うのですが(笑)、回っていただく中で、今まで見ていた作品じゃなく、他のタイプの作品とかにも興味を持って観ていただけたら嬉しいなと思います。ぜひ楽しんでください。


「河森正治EXPO」は、6月23日(日)まで開催。ぜひ一度足を運んで、河森監督40年の軌跡を体感してみてはいかがでしょうか。

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アニメ!アニメ! 米田果織

最終更新:6/14(金) 18:15
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