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日本で第2子、第3子が生まれないのはなぜ? 男性の育休義務化、国会議員が議論

6/14(金) 14:00配信

弁護士ドットコム

少子化に歯止めをかけるため、男性の育児休暇を義務化する動きが出ている。6月5日には、自民党の議員有志による「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」が発足。これを受けて、議連の設立中心メンバーとなった和田義明衆院議員と松川るい参院議員を招いた院内勉強会が6月13日、東京・永田町の参院議員会館で開かれた。両議員は、なぜ「義務化」というあえて強い言葉でメッセージを発信しているのかなど、両親が協力して共に子育てできる社会の実現への思いを語った。

●「役に立たない男が家にいても…」という声

院内勉強会を開催したのは、子育てしやすい社会を目指している団体「みらい子育て全国ネットワーク」(miraco)。代表の天野妙さんによると、8割以上の女性が半年以上、育児休暇を取得するのに対し、男性は2割に満たず、5日未満が約5割ととても短い。一方で、「育休を取りたかった」と考えている男性は、20代、30代、40代で約半数となっており、「取りたくても取れない現状」が解説された。

また、miracoがTwitterで行なった男性育休の義務化についての賛否アンケートでも、9割が「賛成」だった。また、半数以上が1カ月以上の取得を希望していたという。ただし、反対意見として、「役に立たない男が、無駄に休んで家にいる方がイラつく」という声などもあった。実際、総務省の社会生活基本調査でも、妻が働いているにも関わらず、夫が家事をしない世帯は8割、育児でも約7割の世帯で夫が参加していなかった。

こうした課題に対し、天野さんはフランスで行われている親学級の事例を紹介。「誰でも父親になるのは初めて。知らないから丁寧に教える必要がある」として、フランスでは妊娠初期に1回の「親になる準備面談」や7回の「親学級」(無料)で受けることで、父親として自覚が育っていくとした。

●なぜ、男性育休の「義務化」?

続いて、和田議員が、なぜ議連を設立したのか、その理由を語った。

「マクロの問題として、日本が抱えている人口減少問題は深刻ですが、決定的な解決方法がなく、根底に危機感がありました。統計では、第一子を産んだ後に、男性がしっかり家事育児をするかによって、第二子、第三子が生まれるかどうかが決まってくることがわかっています。ここを応援することが、人口減少問題の大きな楔になるという思いがあった」

一方で、議連立ち上げから、同僚議員からも「義務化はやりすぎでは」という意見もあったことを明かし、「それでも、大胆な施策にしなければという思いがあり、中途半端なものは作りたくなかった。パラダイムシフトしたいと思っています。批判も受ける覚悟で、義務化という言葉を残しました」と語った。

●日本で第2子、第3子が生まれない理由とは?

続いて、和田議員とともに、議連設立のきっかけとなった松川議員は、2人の子を育てている経験から、次のように語った。

「もともと、男性と女性で家事育児の負担が異なることに違和感を抱いていました。1人目を産んだ時に、夫と同じような仕事をしているのに家事と育児を引き受け、2人目を産むなんて真っ平御免と思いました(笑)」

松川議員は以前から、男性の育休をプッシュ型で実施したほうがいいと発信してきたが、反応は薄かったという。「なぜなら、私が女性だったから。女性が男性に育児家事をしろと言っても響かなかったのではないかと。私自身、それが男性も喜ぶことなのか、自信はありませんでした」と振り返る。しかし、昨年末に和田議員から「男性の育休も義務化を」という発言があり、「男性自身も育児や家事に関わりたいと思っていることがわかり、確信が持てました」と話す。

「議連では、『男性のくせに育休とるなんて』と言われる文化を、子どもが生まれたらパパもママも一緒に子育てするのは当たり前の文化に変えていきたいです。義務化という言葉はぎょっとすると思いますが、若い男性は取りたいと思っていても、『男のくせに』と思われたり、職場のプレッシャーなどがあって、とても言い出せない状況。申請をしない、できない状況があるのであれば、企業からプッシュ型で働きかけてもらったほうがいい」

松川議員によると、フランスなどの先進国では、共働き夫婦だと収入が増えるので第2子、第3子を産みやすいが、日本だと女性に家事や育児の負担が一方的に偏るので、第1子にとどまるという。

「男性の育休義務化は、少子化対策に有効です。金銭的負担を減らすだけでは、女性は2人目、3人目を産もうと思いません。家事育児が一方的に女性に偏っている状況を変えなければできない。男性も家事育児に参加するようになれば、女性も社会で活躍できますから、一石数鳥ある施策になります」

●企業側の心配をどう克服する?

反対意見として、「義務化を導入したら業績が落ちる」と心配する企業もある。これに対しては、「一斉に導入すること」が大事だと松川議員は指摘した。

「週休2日の導入と同じだと思います。週休2日も、そんなことをしたら業績が落ちるという議論があった。しかし、一斉にやれば企業間で業績に差が出ません。一斉にやることが大事です」

一方、中小企業からも、男性の育児休暇を取らせるだけの体力がないという意見もある。これに対して、和田議員は、「企業体力に応じて、差をつけないといけないと、議連でも議論しています。たとえば、社員が数人しかないところで、代替人材を確保するのは難しい。ある程度、企業の規模で段階を作らなければならないと思います」と説明した。

「その上で、規模の大小に関わらず、育休義務化はどの企業も短期的には厳しいと思います。変化に適応しなければならない大変さがある。短期的に困難に直面しますが、ただ、その困難を乗り越えることで、企業が中長期的には魅力的な人材をより安定的に確保できる選ばれる企業になれるか、なれないか。その分け目になることはメッセージとして伝えていきたいです」

また、最近では、育休明けの男性社員に転勤をさせようとした「パタハラ」疑惑でカネカが炎上したことに触れ、「ネットでカネカさんについても株価に影響が出ました。政府がどうこうしなくても、社会がもうそうなっています。ただ、企業になんらかのアドバンテージを増やすということもありえると思います」

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:6/14(金) 15:45
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