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海苔は記録的な不作でも市場に大きな混乱がなかった理由は…

6/14(金) 18:30配信

日本食糧新聞

今年の海苔の国内生産は記録的な不作だった。減産は約半世紀、原料高も40年ぶりと異常事態。ただし、近年の減産傾向から予見でき流通と消費の大きな混乱は見られなかった。主な消費ルートは確定し、増加する輸入海苔の生産は安定。昨年からは国内市場の単価・価値向上も顕在化してきた。残る拡大市場は海外に絞られ、各社の調達・マーケティング力が問われる。

4年連続の相場高を受けて業界全体で商品改定を推進

2018年度(2018年11月~2019年5月)の国内生産は前年比約16%減の63億7000万枚となり、1972年以来47年ぶりの減産量で着地した。全形1枚当たりの平均価格は13円4銭と前年比1円16銭上昇。1980年来39年ぶりの高値更新となった。主産地の佐賀・福岡有明、兵庫をはじめ、各地で減少して半世紀ぶりの凶作を余儀なくされた。

国内の実需要は80億枚ほどとみられ、過去10年で上回ったのは4年だけ。20年前までは100億枚取れていただけに、減少傾向は明らか。生産者の減少と温暖化を主因に縮小に歯止めがかからない。

海苔養殖の経営体数はピーク時の1割以下。漁船や網、一次乾燥機など初期投資が大きく、寒い海での難業を継がせたくないという漁師が多い。相場高による収入増も、今までの借金を返して廃業する生産者が大勢。メーンの佐賀でも毎年数十人が漁を辞めるといい、和食文化を支える事業継承が果たされていないのが実情だ。

前漁期は前年の厳冬から一転して暖かく、海水温が高すぎた。長期での気温上昇は気象庁統計などから明示。低気温は一昨年が例外となり、農水産物産地の北上が言いはやされて久しい。海苔も毎年の高水温が影響して生育が進まない。育成期間は年々短縮。気温上昇は魚や鳥による食害を呼び、さらなる労苦や生産減を招いている。

記録的な凶作と原料高となったが、仕入れと消費に大きな混乱は見られなかった。一昨年の2016年度まで史上類を見ない4年連続の相場高を受けて、業界全体で商品改定を推進。事業存続に関わると徹底され、業務・家庭用で減量、品揃えの集約が急速に進められた。

ふたを開けてみれば、超高齢・小世帯化の現代ニーズに合い、適量提案が浸透。価値・収益向上とともに使用・消費減が促され、極端な在庫不足が防げた。

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最終更新:6/14(金) 18:30
日本食糧新聞

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