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タンカー攻撃事件が自衛隊出動に至らぬ理由 なぜ「日本に対する攻撃」にならないのか

6/14(金) 19:04配信

乗りものニュース

日本に対する攻撃にあたるのか?

 2019年6月13日(木)、中東における海上交通の要衝であるホルムズ海峡を航行中のタンカー2隻が、何者かによる攻撃を受け、船体に大きな損傷を受けました。このできごとは、攻撃を受けたうちの1隻であるケミカルタンカー「コクカ・カレイジャス」号が日本の海運会社「国華産業」によって運航されていたことなどを受け、日本国内でも大きく報じられました。

【地図】ペルシャ湾の出口、ホルムズ海峡

 事件の発生を受けて国華産業が開いた会見により、この「コクカ・カレイジャス」号が攻撃を受けた際の様子が明らかになってきました。「コクカ・カレイジャス」号は、まず艦尾に攻撃を受け、これによりエンジンルームで火災が発生しましたが、二酸化炭素注入によりこれは消火されました。しかし、その後さらに艦中央部付近にも攻撃を受け、乗員は船からの退避を決断し、救命ボートにより脱出したとのことです。

 今回の事件について、日本の海運会社が運航している船が攻撃を受けたこともあり、これを「日本に対する攻撃」と受け止める意見が散見されます。しかし、少なくとも法的には、そうした結論には至りません。これを理解するためには、国際法上の「公海制度」および「旗国(きこく)主義」という言葉について見ていく必要があります。

海には海のルールあり、「旗国主義」とは?

 地球の大部分を構成する海には、いかなる国の主権も及ばず、また世界中の国が自由に利用できる部分が存在します。これを「公海」といいます。

 しかし、いかなる国も公海に主権を及ぼすことができないということになれば、そこを航行する船舶が自由に活動することと引き換えに、公海が無秩序な状態におちいる可能性も否定できません。そこで、公海上の「船舶」に対してその船の「旗国(登録国)」が管理や支配をおよぼすことにより、公海秩序を維持しようという考えが確立していきました。これを「旗国主義」といいます。

 これに基づけば、たとえば日本を旗国とする船で何らかの事件が発生した場合、そこには日本の法律が適用され、それによってその犯罪が裁かれることになります。実際に、日本の刑法第1条2項には「日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項(この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する)と同様とする」と規定されています。

 今回の事例では、攻撃を受けた「コクカ・カレイジャス」号はパナマ船籍なので、つまり、この攻撃は日本に対するものではなく、パナマに対するものとみなされることになります。

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最終更新:6/15(土) 17:19
乗りものニュース

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