ここから本文です

社説[運転手不足でバス減便]公共交通守る意識必要

6/14(金) 5:25配信

沖縄タイムス

 県内路線バス4社が、運転手不足を理由に、今年に入り相次いで便数を減らしている。本紙の集計で減便は計212便に達した。高齢者はもちろん、通勤・通学利用客への影響が懸念される。

 人手不足はバスの運行減に直結する。10年前に比べ便数を40~50%減らした路線もあり、このままでは路線そのものが維持できなくなる可能性もある。

 運転手不足は全国的な傾向だが、県内ではより顕著だ。2018年度の有効求人倍率は2・61倍と、全国2・44倍を上回った。那覇管内ではさらに3・63倍に跳ね上がる。観光業の活況を受け、近年、観光バスへの参入が増加。好待遇を求めて路線バスからの転籍もあり、もともと少ないパイを奪い合う形になっていることが背景の一つにある。

 大勢の客を乗せて長時間運行する労働負担も要因の一つとみられている。過密運行による体調不良や居眠り運転で、全国で事故が相次いだことは記憶に新しい。県内でも人手不足を補うため、残業など運転手1人当たりの業務量が増えているといわれる。

 バス4社は、大型2種免許の取得費用の貸与や、取得後の報奨金制度など運転手確保に取り組む。しかし現状を見れば事態の改善には至っていない。

 4社のうち、今回、最も多くの減便に踏み切った東陽バスは、利用客に向け「人手不足で減便する」ことを書いた異例の張り紙を表示した。担当者は「バス業界の現状を知ってほしい」と語る。張り紙はバス業界の「悲鳴」ともとれる。

 ■ ■

 公共交通としてのバスは、全国的にも岐路に立たされている。

 高知や岩手では昨年、長距離夜行バスが、帰省客が増える年末の臨時便を減らした。宮崎でも今年4月から、路線バス50系統で46~61便を削減している。

 全国的な運転手不足を受け、国は自動運転バスの実証実験を進める。

 沖縄県内でも今年、那覇市や豊見城市の公道で実験運行が行われた。

 一方、実験では自動運転中にも運転手の乗車は必要で、場所によっては運転手による操縦が必要な区間もあることが明らかになった。

 自動運転は運転手の負担を軽くする可能性があるが、運転手の存在がバスの運行に欠かせないことに変わりはない。根本的な解決策が必要だ。

 ■ ■

 日本バス協会によると、2016年のバス運転手の年収は448万円で全産業の平均より42万円低かった。一方、年間労働時間は2520時間で約400時間多い。

 沖縄県は「わったーバス党」事業やバスレーン延長、基幹バス導入など、利便性向上に向けさまざまな取り組みを進める。県内バスの赤字系統に対する国や県、市町村の補助額は17年度、最多の4億円超となった。

 しかし、運転手の待遇改善など人材育成面での取り組みは十分とはいえない。企業努力だけでは限界がある。人員確保には、大胆な公的支援の検討も必要ではないか。

最終更新:6/14(金) 5:25
沖縄タイムス

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事