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染みついた「仕事優先」、男らしさの刷り込み?「父親のモヤモヤ」語ってみた 識者「葛藤、社会で共有を」

6/16(日) 7:02配信

withnews

■#父親のモヤモヤ

今日は「父の日」です。記者(38)は、同い年で共働きの妻、保育園に通う娘(3)と3人暮らし。父親として、家事や育児の分担をしていますが、仕事とのやりくりで「モヤモヤ」することもあります。その正体について、「男らしさ」を研究する専門家と考えました。(朝日新聞記者・高橋健次郎)

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「子育てひとごと」に返す言葉が……

話を聞いたのは、「『男らしさ』の現象学試論」などの論文がある国学院大学准教授(哲学)の小手川正二郎さん(36)。論文では、仕事優先といった「男らしさ」の呪縛や、男性優位の社会で「父親」が生きづらさを訴えることにひそむ「自己欺瞞(ぎまん)」について触れています。「自分のモヤモヤを聞いてほしい」と小手川さんを訪ねました。

高橋記者:最初に告白すると、2016年に娘が生まれた時、私は長時間労働が当たり前で、育児休業中の妻は「ワンオペ育児」状態でした。

当時は政治報道に携わっていて、政府の「働き方改革」や天皇陛下(現上皇さま)の退位をめぐる取材にのめり込んでいました。深夜に帰宅することも珍しくなかったですし、週末はしばしば国会議員の地元に同行取材をしていました。

関係者宅の前で話を聞く「夜回り」に行く前、いったん自宅に戻ってお風呂に入れたりごはんを食べさせたりしました。夜泣きをすれば、起きてミルクの準備をしました。

でも、仕事優先のスタイルは変えませんでした。妻は育休を取り、生活のすべてを子育てにあてていたにもかかわらずです。私が目を向けなかったすべてを、妻は担いました。「子育てをひとごとに考えていた」と言われても返す言葉がありません。

小手川准教授:そういう父親は多いでしょうね。まず私のことをお話しします。専門は、哲学の一つである現象学です。現象学は、私たちの経験に立ち戻って、その成り立ちや意味を考える学問です。

現象学者のボーボワールはフェミニズムにも影響を与えた『第二の性』(1949年)の中で、「男女平等を唱える男性でも、妻とけんかをすると『俺のおかげで食えている』と言ってしまう」というような指摘をしています。

自分もまた、妻にそういった類いのことを言ってしまったことがありました。隠したくなる自分の本音に向き合おうと思い、現象学で男らしさを考えるようになりました。

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最終更新:6/17(月) 7:31
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