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敗北を知った松山ケンイチはいま、バカになりたいと願っている

6/15(土) 6:01配信

BuzzFeed Japan

「バカになって、自分なりの答えを見つけていきたい」
俳優、松山ケンイチはそう語る。

「敗者」になることで見えたもの。
「視聴率」批判への思い。
「父親」という役づくりをやめた理由――。

アニメ映画『プロメア』で主役のガロ・ティモスの声を演じる松山が、挫折と葛藤の末にたどり着いた独自の人生哲学を明かした。【BuzzFeed Japan / 神庭亮介】

声を枯らした熱血演技

――松山さん演じるガロは、「バーニッシュ」と呼ばれる炎を操る突然変異の人々があふれた世界で、バーニッシュのテロリストと対峙するレスキュー隊員という役どころです。

常にフルスロットルな燃えている役なので、そのエネルギーを表現するための自分の体力もギリギリでした。やっている最中は声が枯れましたね。

クラウザーさん姿でアフレコ

――映画『デトロイト・メタル・シティ』では、クラウザーさんの格好でアフレコをしたそうですが、今回は?

ないです(笑) 当時はやっぱり不器用だったので、自分なりに納得した形でやりたかったんですよ。

『デトロイト・メタル・シティ』の時、あの格好でアフレコをした効果はありました。実際にやってみることの効果は確実にある。

ただ、当時に比べるともうちょっと視野が広くなってきたので。こんなことやってたら迷惑掛けちゃうなと。

逆にできるだけフラットな状態で、どんなものが出せるかっていうのを考えるようになったんですよね。

――ガロは「火消しバカ」の熱い男ですが、松山さん自身と重なり合うところはありますか。

そうですね。僕もいろんな情報にとらわれてしまうよりは、バカになって自分なりの答えを一つひとつ見つけていきたいと思っています。

やっぱり、先の答えを教えてもらうのってつまらないし、全員に対して平等な答えっていうものはないですから。

「視聴率悪かったね」と言われて

――映画では、何度負けても立ち上がるガロの姿が印象的です。松山さんもご著書のタイトルを『敗者』としていますね。

これ、あんまり伝わらないんですけど…。東日本大震災が起きた2011年に、大河ドラマ『平清盛』の撮影が始まったんですよ。

『平清盛』っていうのは、自分のなかで一番大事な作品なんですね。ひとりの人物の若いころから死ぬまでやれるって、役者としてなかなかない機会だし、宝物だと思っていて。

取材で岩手に行った時、酔っ払ったおじさんに「『平清盛』視聴率悪かったね」って言われたんですよ。

第一声、それなんだ。岩手でも撮影してたのに…って思った時に、でも、これでよかったのかもしれないと思い直したんです。

――よかった?

そういう風に何かの「はけ口」としての役割をもらったんじゃないかなと。勝者がいるってことは敗者がいて、敗者がいなければ勝者はいないわけですよね。

もしかしたら敗者にならなきゃいけない、そんな役割も担っていたんじゃないかって。

武士が政権を握るっていう、いままであり得なかったことを清盛はやって、結果的に源頼朝に「バトンを渡した」わけです。そこから鎌倉幕府、本格的な武士政権ができあがった。

清盛という敗者がいなければ、武士の世の中は来なかった。だから「滅んだ」というよりは、「バトンを渡した」という感じなんじゃないかなと。

そうやってつながっていくという意味で、本のタイトルにすごくいいなと思ったんですよ。

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最終更新:6/15(土) 18:17
BuzzFeed Japan

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