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生息範囲広げる「ヤマビル」 気づかぬうちに吸血、流血 天敵おらず退治困難/兵庫・丹波市

6/15(土) 11:02配信

丹波新聞

 シカなどの野生動物にくっつくことで全国的に「ヤマビル」が生息範囲を拡大している。兵庫県丹波市内でも範囲が徐々に広がっている事が、市が行った丹波市森林組合と丹波ひかみ森林組合の聞き取りから分かった。市の調査ではヤマビル生息確認個所に含まれていない地域でも目撃情報があり、湿気があり蒸し暑い梅雨時期は最も活発になることから、山に近付く時は吸血されないよう注意が必要だ。

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吸われると血止まりにくい

 ヤマビルは、体長2―5センチ、伸びると5―7センチ。赤褐色をしており、背面に3本の黒い縦線があり、尺取り虫のように、1分に1メートルほど移動する。振動、二酸化炭素、体温などに反応する。成体は吸血後ひと月ほどで卵を産む。1年で産卵が可能な成体になり、成体は1年に1度の吸血でも生きる。吸血の際、ヒルジンという分泌液を出すため、吸われていることに気付かず、吸われた所の血が止まりにくい。乾燥を嫌うという。

 ヤマビルの名の通り山中や山裾に多く、生息密度の高い地域では「畑に野菜をもぎにいったら血を吸われる」(同市内50代女性)、「お墓に行くと足にくっつく」(同市内50代女性)などと、身近な厄介者になっている。

100メートル進んで144匹を人力駆除

 1995年の開園当時、ヤマビルがいなかった「青垣いきものふれあいの里」(同市青垣町)は、いつの間にかフィールド(散策山)に定着したヤマビルに悩まされており、人力で駆除を続けている。職員や同施設友の会の有志が年に数回、散策のついでにピンセットと塩が入った瓶を手に捕殺しているものの、個体数が減ったという実感にはつながっておらず、駆除が追いついていない。

 山仕事にも従事する地元業者によると、昭和の時代はヤマビルは話題にならなかったという。いなかったか、いても山中のみで、里近くで被害に遭うことはなかったとみられる。同施設によると、遅くとも2010年にはヤマビルを認めるようになったという。

 

 雨上りの6月7日午後、同施設の衣川祥民施設長と職員の蘆田昭治さんら3人が、長ぐつに忌避剤をかけてフィールドの頻出場所へ。足で草むらを刺激して振動を与えたり、地面に息を吹きかけておびき寄せた。鎌首を持ち上げるようにあたりを見回したり、大きく体を伸ばして最短距離で人間に向かってくるヤマビルをピンセットでつまみ、塩が入った容器に入れた。長ぐつをよじ登って来る個体もあり、足元を気にしながら駆除に励んだ。

 雨が降り始めたため30分ほどで下山。3人で144匹を捕まえた。移動距離はわずか100メートルほどだった。衣川施設長が長ぐつを脱ぐと、靴下が血で赤く染まっていた。ズボンと長ぐつの隙間から侵入したヒルに吸血されたもので「全然気づかなかった」と話していた。

 シカの食害に遭った同施設フィールドは12年3月の鹿柵完成で植生は戻ったものの、ヒルは減っていない。蘆田さんは「シカはいないが、タヌキやアナグマがいる」と、吸血源が生息していると言い、何年か前に、塩で退治しようと塩化カルシウムをまいたが効果はなく、定着後の駆除の困難さに直面している。

 フィールドに入る人に服装や忌避剤使用をと注意しており、友の会の会員には、塩水に浸して乾かしたズボンや靴下をはいて吸血予防をして山に入る人もあるという。

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最終更新:6/15(土) 15:01
丹波新聞

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