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[私の公設市場物語](4)「市場の古本屋ウララ」店主・宇田智子さん 迷路のようなマチグヮー、売り手の顔が見える大切さ

6/15(土) 9:35配信

沖縄タイムス

 第一牧志公設市場の向かいにある「市場の古本屋 ウララ」の店主、宇田智子さん(39)=那覇市松尾=は開店した2011年から市場を見つめてきた。市場の特色である、売り手の顔が見える大切さを自身の体験から感じたといい「売る人の顔が見える市場であり続けてほしい」と願う。一方で、市場が一時的に移転することで周辺店舗への影響を懸念する。

 沖縄の豊富なローカル本の魅力に引かれ、09年にオープンしたジュンク堂書店那覇店の書店員として沖縄で働き始めました。那覇市の壺屋に住んでいたこともあり、通勤途中に必ず通るのが市場近辺。最初は迷路のように入り組んでいるマチグヮー(商店街)に驚きました。

 ウララの前は「とくふく堂」という書店がありました。店主の妻が元書店員という縁があり、夫婦から引き継いでウララを開店したのが11年11月。それからずっと市場の様子を見てきました。

 市場ではタイムカードという考え方がなく、生活の一部として店を切り盛りしているのが面白い。看板では精肉店と掲げているのに漬物を売っていたり、かつお節店なのにお茶も売っている。「こだわりのなさ」をいいなと感じます。

 印象的だったのは移転が決まったと報じられた後、みんながいつもと同じように仕事をしていたこと。いろんなことを乗り越えてきたからこそ、ちょっとのことでは動じないんだろうなと思いました。

 ある日、店に植物を置いてみると、向かいのかつお節店の方から「それだと顔が見えない」と言われました。市場の人たちが顔の見える販売スタイルを大切にしてきたことを実感しました。

 正月や旧盆以外に月1回の市場が休みの時はしーんとしていて、とても寂しい。それがしばらく続くのかと思うと、私含め周辺のお店から、お客さんの流れが変わるのではないかといった不安の声が上がっています。工事中は市場に大きな壁が掲げられるので、そこに絵を描いたり、付近でマーケットができないか、盛り上げることをいろいろ模索しています。(聞き手=社会部・比嘉桃乃)

 うだ・ともこ 1980年神奈川県生まれ。2011年に第一牧志公設市場向かいに「市場の古本屋 ウララ」を構える。市場を行き交う人たちを切り取ったエッセー集「市場のことば、本の声」を出版した。

最終更新:6/15(土) 9:35
沖縄タイムス

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