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葬儀業界のプロに聞く「最期に後悔のない別れ方」ができる家族の共通点

6/16(日) 12:00配信

ねとらぼ

口癖は「自殺はするな。勝手に死ぬな。まず親に一言相談しろ」

――人の生き死にには慣れてらっしゃるIさんでも、「さすがにこれはつらかった」ってご経験はありますか?

 自殺で家族を失ったケースです。残された家族は後悔し続け、癒やされない傷を背負ったまま生涯を終えます。自殺された遺族ほど救われない方々はいらっしゃらないんじゃないでしょうか。

――親が子を自殺で失うってニュースは時々見ますけど、親としてこれほど苦しいことはないだろうなって思います。

 発狂したかのように泣き叫ぶ人もいれば、糸の切れた人形のように、食べることも寝ることも服を着ることもできなくなってしまう人もいます。子の後を追って自殺してしまうのではないか心配になることもあるので、かける言葉は細心の注意が必要。なので自殺者の葬儀の場合はベテランが担当することがほとんど。

 私にも子どもがいますが、「何があっても自殺はするな。勝手に死ぬな。どうしてもしたくなったら母(=私)にまず連絡しなさい」と口酸っぱく伝えています。あと、以前とは考え方が変わりました。例えば子どもがイジメとかで不登校になったら、昔は「そんなことでくよくよせずに行きなさい」ってけしかけていたと思うんですが、今はそうはしないと思います。

――ご自身の宗教観の変化ってありますか?

 宗教の良し悪しとか、善悪っていうんでしょうか……そういうのを意識しなくなりました。どの宗教も結局は神聖なものを崇拝するっていう気持ちに変わりはなく、何を信じたっていいんじゃないかと。

――宗教に関しても寛容な気持ちなんですか?

 人に宗教を押し付けるのも、押し付けられるのも不毛な気がします。私は宗教で争うとか議論もしません。「あなたはあなたの信じるものを信じればいいし、それはあなたにとって大切なものなのでしょうね」というスタンスです。

「人生観がちょっと変わる」イベント

――死を意識して生きるのが大事なことは分かりましたが、現実にはなかなか難しいですよね。

 最近は、「納棺体験イベント」というのがありまして。

――納棺体験イベントですか……そういうのが行われているのは知ってますが、まだ自分事としては考えにくいので行く気にはならないですね。

 人生観がちょっと変わりますよ。棺おけに入って蓋を締め、小窓から外を見ると家族や大切な人に何をしてあげたいか、残りの人生で自分は何をなすべきか……が鮮明にイメージできるものです。

――棺おけから出たあとはどうするんです?

 エンディングノートを書きます。遺言書ではなくってもっと生活に密着したToDoリスト的なもの。水道・ガス・電気・通信の手続き、保険内容や契約書の保管場所、預金通帳と印鑑、断捨離を含めた物の整理、鍵の数と置き場所、家電製品の取扱説明書の整理……自分がいつ死んでも家族が困らないための具体的なタスクを書き出すんです。

――納棺体験イベントって、どんな方が参加するんでしょう?

 女性の方が多いですね。1人ではなく友人同士でいらっしゃることがほとんど。男性は「奥さんに連れてこられた」って人がちらほら。男性自ら進んで「納棺体験イベントに行こう」と考えることは稀なようです。葬儀業界の営業方法の一種でもあるんですが、それはそれとして貴重な体験になるのは間違いないです。無料でやっていることが多いので、ぜひトライしてみてください。ちなみに私もやったことはありますよ。

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最終更新:6/16(日) 12:00
ねとらぼ

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