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介護人材アジアに期待 県内の福祉施設

6/16(日) 1:47配信

北日本新聞

 県内の介護現場で、4月に創設された在留資格「特定技能」による外国人労働者受け入れを視野に入れた動きが出てきた。人材難を背景に、高岡市の社会福祉法人がベトナム人女性の採用を決め、特定技能への移行を目指す一方、別の法人グループは提携しているフィリピンの大学からの受け入れを計画している。定着に向け、働きやすい環境づくりや人材育成の充実を模索する動きもある。(編集委員・宮田求)

■特定技能の活用視野
 各法人が外国人材獲得に乗り出すのは、少子化などで人材不足が深刻化しているからだ。県内の介護福祉士養成校は定員割れが目立ち、介護現場では「国内だけで人材を確保するのは無理」との声が上がる。

 法人にとって特定技能活用のメリットは、受け入れ人材の滞在期間を長くできることだ。技能実習を経て特定技能に移行する場合、通算8~10年の継続雇用が可能になる。

 高岡市オフィスパークの社会福祉法人高岡南福祉会は、ベトナムの看護技能学校卒業生を、技能実習生として受け入れる。将来の特定技能移行を視野に、まずは6人の採用を決めた。今年9月から来年5月にかけ特養老人ホームに配属する。

 澤田幸伸理事長が特に重視する素養は、日本語能力だ。介護分野の技能実習生のレベルは、日本語能力試験でややゆっくりの会話をほぼ理解できる「N4」だが、「そのレベルでは、利用者やスタッフとの意思疎通に不安が残る」からだ。

 このため、まずはベトナムにある提携先法人の日本語学校で、車いすからベッドへ移す「移乗」などの用語を覚えてもらう。来日後は現場体験を通じて用語を理解し、作業への習熟を目指す。

 9月から勤める20代女性3人は今月、特養ホームでの事前研修で食事介助などを体験。ベ・ヒエップ・タオ・ヴィさん(23)は「日本の介護を全て学びたい」と意気込んでいた。

 高岡、射水市などでグループホームやデイサービスを運営する法人グループ「福祉コミュニティあいの風」は、提携したフィリピンの大学に資金を提供し、日本語と介護技術を学ぶコースを開設。同コース修了者を来春以降、特定技能か技能実習生の資格で受け入れる。網武志理事長は「長く働いてもらえるよう、生活面を含めたきめ細かなアドバイスをしていきたい」と強調する。

 他の産業で技能実習生への人権侵害が起きてきた経緯を踏まえ、働きやすい環境づくりを目指す動きもある。県内の3医療法人でつくる公益社団法人サンライズ・ネットワークス(富山市高田、西能淳代表理事)は、技能実習生の受け入れ業務などを担う監理団体として、モンゴルの大学の技能実習コース修了者を、介護職場に橋渡しするほか、受け入れ先法人の監査などを担う。

 事務局担当の井上仁さんは「監査で未払い賃金の有無などをチェックするとともに、地域との共生も後押ししたい」と言う。良好な職場環境を足掛かりに、特定技能への移行につなげたい考えだ。

■永続的な就労も可能
 国は、技能実習や特定技能で働く外国人が一定の実務経験を経て介護福祉士の国家試験を受けられるようにする方針を打ち出している。介護福祉士の資格を取れば、何度でも在留期間を更新でき、永続的な就労への道が開ける。

 こうした動向を受け、高岡南福祉会は技能実習生受け入れを足掛かりに、介護福祉士養成を目指す。監理団体のサンライズ・ネットワークスもモンゴルから受け入れる人材を念頭に「資格取得へのサポートをしたい」としている。

 介護分野の外国人材を巡っては他に、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアなどから介護福祉士候補者を受け入れる制度もある。国家試験に合格しなかった人は本来帰国しなければならないが、「合格基準点の5割以上」などの条件を満たしていれば、特定技能に移行できるようになった。国家試験への再チャレンジも可能だ。

 受け入れ実績がある新川老人福祉会(魚津市大光寺)では、条件に該当する20代インドネシア人女性が特定技能への移行を希望しているという。


◆特定技能◆
 少子高齢化による働き手不足に対応するため、4月施行の改正入管難民法に導入された新たな在留資格。対象は介護や建設、農業、産業機械製造業など14分野で、在留期間は最長5年。資格を取得するには技能と日本語の試験に合格しなければならない。既に日本で働いている技能実習生(最長5年)は、3年以上の実習経験があれば、試験なしで移行できる。

北日本新聞社

最終更新:6/16(日) 12:45
北日本新聞

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