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「復讐するは我にあり」佐木隆三 逃げずに迫った真実【あの名作その時代シリーズ】

6/17(月) 18:00配信 有料

西日本新聞

「峠のトンネル」とされた仲哀トンネル。ここで西口彰は第2の殺人に及んだ。今は車が利用できないようにされており、近づく人もほとんどいない=福岡県みやこ町

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は06年9月3日付のものです。

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 積み重ねられた十冊を超える大学ノート。表紙には「西口彰ノート」とあり、通し番号が打ってあった。関門海峡を見下す北九州市門司区の風師(かざし)山。その中腹にある佐木隆三の終(つい)のすみか「風林山房」で見せてもらったノートには、福岡県苅田町に端を発し、全国を震撼(しんかん)させた四十三年前の連続強盗殺人事件の裁判や捜査の記録、関係者の証言が丹念に書き込まれていた。

 事件から十二年後の一九七五年、このノートをもとに「復讐(ふくしゅう)するは我にあり」は書き上げられた。日本における「ノンフィクションノベル」の代表作と評され、直木賞を受賞した。

 親しかった、暴力団事情に詳しい週刊誌の副編集長の名刺を使い、捜査幹部からマル秘ともいえる情報を聞き出すなど、手練手管も使って執念深く事実を追った。そんな佐木が、一度だけ取材の現場から逃げ出したことがあったという。

 「経験があるでしょう」

 記者に同意を求めながら、打ち明けてくれた。それは、事件を起こした西口彰の父親の姿を目にしたときだった。 本文:2,714文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:6/17(月) 18:00
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