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新国立競技場を設計・隈氏建築、にぎわい創出 境・町営施設整備進む

6/17(月) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

新国立競技場の設計を手掛けた建築家、隈研吾氏とコラボしたまちづくりを進める境町。道の駅さかいの敷地内に今春オープンした「さかい河岸レストラン茶蔵」をはじめ、隈氏が設計した町営施設を来年3月までに計五つ整備し、建築による町おこしを目指す。年間約33万人が訪れる道の駅さかいの利用客を、隈氏設計の施設が点在する中心市街地に呼び込み、商店街の活性化や空き店舗の解消につなげたい考えだ。(古河支局・小室雅一)

■新国立とリンク

県産スギ材を用いた「さかい河岸レストラン茶蔵」の外観は、新国立競技場とリンクする「和」のデザインで、店内はさしま茶の葉で染めた布が張り巡らされている。施設1階のビュッフェレストランは4月の開店以来、土日・祝日には200人以上が詰め掛ける大盛況で、橋本正裕町長は「隈研吾さんの設計が話題を呼び、片道2時間かけて来る人もいる。大勢の人でにぎわっている」と笑顔を見せる。

町は昨年10月、道の駅の建物内に開業したサンドイッチ店「さかいサンド」を皮切りに、隈氏が設計した町営施設を計五つ整備する事業を進めている。今後、ワインや干し芋などの特産品の研究開発を行う施設や、晩年を境町で過ごした日本画家、粛粲寶(しゅくさんぽう)(1902~94年)の作品を中心に展示するギャラリーなどを順次整備する。

特産品の研究開発施設は11月、ギャラリーは来年3月にそれぞれ完成する予定で、五つ目の施設については近々、町が発表する。

■徒歩5分圏内

この取り組みは、隈氏が設計したレストラン、ギャラリー、特産品の施設などを片道徒歩5分圏内にまとめることで、まちのにぎわいを創出する狙いがある。さらに、町営施設を建設することで商店街の空き地を有効利用。人が回遊することで、ビジネスチャンスと捉えた若者らが商店街の空き店舗を活用し喫茶店などを開業する“相乗効果”も狙っている。

隈氏は「人間が歩ける範囲内に商業施設や住宅などを集中させたコンパクトシティ日本版の先進事例になる」と境町の取り組みを評価。施設一つ一つの規模は大きくないが、各施設を連動させて人の流れを変え、新たな流れを作ろうとする発想にエールを送る。

町観光協会は隈氏設計のレストラン効果で、道の駅全体の利用客を1割程度増やすことを目指している。

■国が7割超補助

人口約2万4千人の小規模自治体にとって、ハード整備に充てる財源をひねり出すのは簡単でない。レストランの整備費は約3億6400万円に上る。

町は、総事業費の50%を地方創生拠点整備交付金で賄い、最大75%の交付税措置がある起債などと組み合わせ、町の負担分(約25%)は、ふるさと納税や家賃収入などで充当する計画だ。同町には2018年度、ふるさと納税で約57億5900万円が寄せられ、貴重な財源となっている。

橋本町長は「東京五輪の開幕前に、隈研吾さん設計の全5施設が完成する。世界中から訪れる観光客に注目される」と分析。新国立競技場を訪れた外国人らが境町に足を運ぶことも想定しており、交流人口の拡大に伴う観光産業や地元経済の活発化を期待する。

著名建築家と連携した町おこしは全国的にもユニークな試みで、地方創生の成功事例となるか注目を集めそうだ。ただ、町内に旅館・ホテルなどの宿泊施設が不足しており、今後の検討課題となっている。

茨城新聞社

最終更新:6/19(水) 10:10
茨城新聞クロスアイ

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