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スープラ ミドルスポーツの矛盾構造

6/17(月) 7:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 新型スープラが登場した。今回は細かい話はしない。新型スープラが産まれながらに抱えているさまざまな矛盾の話をしたい。

【前後重量配分を50:50にした】

 「スープラをどんなクルマにしたかったのか?」と聞くと、チーフエンジニアは「ピュアスポーツを作りたかったんです」と答えた。だから、クルマの基本的な運動特性をほぼ決めてしまうホイールベース/トレッド比のディメンジョンを1.55に決め打ちした。値が小さくなるほど、回頭性が高まり、よく曲がる。だから4つのタイヤが地面に描く四角形、つまりトレッドとホイールベースで決まる矩形(くけい)の縦横比を正方形に近づけようとしたのだ。

 普通の市販車はこの比率が1.7〜1.8あたりにある。1.6を分水嶺(ぶんすいれい)に、これを切るクルマは極端に少なくなる。トヨタのような大量生産メーカーがこんなディメンジョンを採るのは異例中の異例なのだ。

トヨタの主張

 正方形に近づけるやり方は2つある。トレッドを広げるか、ホイールベースを削るか。トレッドを広げればクルマは巨大になって、俊敏さが活かせなくなる。となればホイールベースを削るしかない。例え狭くてもリヤシートを付けたらディメンジョンが1.7前後になることは避けられない。だからさまざまな反対を押し切って2座にした。それはピュアスポーツであるためである。

 しかも2020年代に向けてリリースするスポーツカーだ。環境問題を考慮したハイブリッドモデルを設定しなくていいのか? という要求も当然出てくるだろう。チーフエンジニアはそれも拒絶した。駆動用のバッテリーを搭載しようと思えばそれだけ重く大きくなる。どうしてもパッケージが緩くなるし、ハイブリッドと非ハイブリッドの重量配分が大きく変わり、さらにハイブリッドモデルの重量配分は悪化する。

 車内の荷物置き場が制限される2座で、パワートレインはコンベンショナルなエンジンのみ。削りに削って将来拡張性をかなり諦めてまでこういうクルマを作ったのは、すべてピュアなスポーツであるためだ。それがトヨタの言い分である。

 分からないではない。しかしどうしても引っかかるのは、ピュアスポーツという言葉の定義だ。筆者がピュアスポーツといわれて頭に浮かぶのは、ロータス・エリーゼやスーパーセブン。ラディカルやアリエル・アトム、KTMクロスボウなどのレーシングカーとスポーツカーの汽水域に生息するクルマたちだ。このグループに新型スープラを入れるのはさすがに違和感があり過ぎる。

 とはいえ、少量生産メーカーゆえにいろいろな規制対応を免除されているピュアスポーツのジャンルには、トヨタのクルマが入っていかれないのは分かる。課せられるルールが異なるので同じものは作れない。

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最終更新:6/17(月) 7:10
ITmedia ビジネスオンライン

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