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「ビットコインのバブルを馬鹿にするのは愚か」慶大・坂井教授が語る“暗号通貨と国家”

6/17(月) 21:00配信

CoinDesk Japan

なぜ通貨を発行するのが国家である必要があるのか。好きな通貨を自由に使えればいいのではないか。そもそも国家の金融政策により私たちの財産価値は下がっているのではないか──『暗号通貨vs.国家』(SB新書)を上梓した慶應義塾大学経済学部教授の坂井豊貴氏に聞いた。

ビットコインのエコシステムは社会そのもの

──著書『暗号通貨vs.国家』(SB新書)では、ビットコインをはじめ仮想通貨の非常に深い所まで調べて議論しています。なぜビットコインや他の仮想通貨に関心を抱いたのでしょうか?

ビットコインに本格的に関心をもったのは遅くて、2017年の夏頃でした。あるテレビ番組で経済学者の野口悠紀雄さんと対談したのですが、そのとき彼がビットコインという発明について熱っぽく語ってくれたのです。当時はバブルの上昇局面でしたが、「値動きに気をとられてはならない、これは舐めてはならないものだ」と直感しました。そこから野口さんの本や、サトシ・ナカモトの論文などを読み始めました。

ビットコインの仕組みが健全に維持されるためには、さまざまな人々が関わる必要があります。たとえば報酬のために他人の取引を記録するマイナーや、ボランティアでコードを書く開発者などです。中央の管理者はいないから、これらの人々が勝手に行動して、その結果としてビットコインという仕組みが健全に維持されている。よく出来ているなあ、サトシはよくこんなものを考えたなあと感嘆しました。

経済学には、ゲーム理論を用いてよい制度を設計する「メカニズムデザイン」という分野があります。その分野の専門家としては、ビットコインの仕組みは、制度のように見えます。制度と人間を合わせると、全体として社会になっている。サトシは電子空間に社会を作ったわけです。これに気づいたときには鳥肌が立ちました。マイナーと開発者の意見が対立してケンカが起こるといったようなことも、社会らしいなあと思います。

分散管理の仮想通貨を一つ作るというのは、一つの社会を作るようなことです。通常、社会は自作できません。でもサトシはそれをやってしまった。これまでは紙と鉛筆で描かれていただけの構想が、電子空間に実在を与えられたわけです。

これが、私が分散管理の仮想通貨や、パブリックブロックチェーンに惹かれる理由です。パブリックブロックチェーンは、人間の行動とつながっている。その考察には経済学の知見が色々と役立てられます。

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最終更新:6/17(月) 21:21
CoinDesk Japan

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