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三菱スペースジェット、70席級M100は23年投入目指す

6/18(火) 6:59配信

Aviation Wire

 三菱航空機は現地時間6月17日、同日開幕したパリ航空ショーで、「MRJ(三菱リージョナルジェット)」から改称した「三菱スペースジェット(Mitsubishi SpaceJet)」の報道関係者向け説明会を開いた。従来「MRJ90」と呼んでいた「SpaceJet M90」の量産機納入開始は、これまで通り2020年中ごろを維持。M90をベースに新設計する70席クラスの「SpaceJet M100」の市場投入は、2023年を目指す。

【パリ航空ショーに展示された三菱スペースジェット】

◆「シート直結の数字やめた」

 M100は米国市場に最適化した機体サイズで、座席数は3クラス65-76席、最大1クラス88席まで設定できる。M100は、北米市場に存在する「スコープ・クローズ」と呼ばれるリージョナル機の座席数や最大離陸重量を制限する労使協定に準拠した仕様にした。

 現在は機体の設計方針を固める「コンセプトスタディ」を進めており、ローンチが決定した場合、今年後半の発表を計画している。

 三菱航空機では、今後燃油価格が上昇するとして、既存機の置き換え需要に対し、低燃費・低騒音を売りとするスペースジェットに商機があるとみている。客室は1列2-2席のシート配列で、M100はクラス最大のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)を設け、機内インターネット接続にも対応できるようにする。

 一方、M90は機体の安全性を航空当局が確認する「型式証明(TC)」の取得に向けた試験が進んでいることから、客室仕様は変更せず、従来のままでTC取得を目指す。

 これまでのMRJは、90席クラスのMRJ90と、短胴型で70席クラスのMRJ70の2機種で構成しており、将来像として100席クラスのMRJ100Xが描かれていた。スペースジェットでは、MRJ90はそのままM90にスライドするが、M100はM90をベースとするものの、新たに設計することから従来と命名基準を変えた。

 三菱航空機の水谷社長は、「商品名にはあえてリージョナルを付けていない。リージョナル市場で使われる新しい飛行機を提供するのが目的。90とか70という、シートに直結する数字をやめた」と説明した。

 17日の説明会では、MRJ100Xと同程度の座席数とみられる「M200」の構想も示した。水谷社長は「まずはM100の事業化の見通しを立てたい。M200はその先で検討したい」と語った。

◆E170対抗「新しいプライシング」

 パリ航空ショーの会場に三菱航空機は、MRJのローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)のカラーリングから改められた飛行試験3号機(登録記号JA23MJ)を地上展示し、M100の客室モックアップを持ち込んだ。

 M100が参入を目指す70席クラスの競合としては、リージョナルジェット世界最大手であるブラジルのエンブラエルが、エンブラエル170(E170)の製造を続けている。同社はE170とE175、E190、E195の4機種で構成する「Eジェット」の後継として、スペースジェットと同じ新型エンジンを採用した「E2」シリーズを開発しており、E175-E2とE190-E2、E195-E2の3機種を揃えるが、E170の後継機は存在しない。

 一方、航空会社は燃費だけではなく、現在保有している機材を含めたトータルの運航コストを安価に抑えられる選択肢を求めるケースもみられる。このため、エンブラエルはE170の客室仕様を刷新して快適性を向上させ、スペースジェットを下回る機体価格で迎え撃つ構えだ。

 実際、リージョナルジェット機を運航する航空会社では、エンブラエル製既存機の置き換えで必ずしも新型のE2シリーズを選ばず、価格がこなれたEジェットを追加発注するケースもみられる。

 水谷社長は、スペースジェットの性能について、「十分(競合と)戦える自信を持っている」と述べた。機体価格については「世界のパートナーに理解をいただき、十分競争力があるオファーを得て、新しいプライシングを生み出したい」と、部品などのコストダウンの積み重ねで、これまでよりも安価な価格設定を目指す考えを示した。

 また、親会社の三菱重工業(7011)が交渉を進めているカナダのボンバルディアが持つリージョナルジェット機「CRJ」の事業買収に関しては、交渉中であることと三菱重工サイドが進めている話であることから、新たな発表はなかった。

*写真は12枚。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:6/18(火) 6:59
Aviation Wire

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