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天安門事件30周年、ドキュメンタリーが描いた事件と中国の発展

6/18(火) 23:02配信

シネマトゥデイ

 天安門事件から今年で30年。1994年に公開されたドキュメンタリー映画『ムービング・ザ・マウンテン(原題)/ Moving the Mountain』が、ニューヨークのメトログラフ・シアターで再上映された。6月4日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催のイベントでは、 マイケル・アプテッド監督とプロデューサーのトルーディ・スタイラーが同作への想いを語った。

【写真】トルーディ・スタイラーの夫は歌手スティング

 1989年6月4日、北京市にある天安門広場に民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、軍隊が武力行使して、多数の死傷者を出した天安門事件。今作は、天安門広場の蜂起に参加した人へのインタビュー、その後の彼らの人生、さらに当時のニュース映像やドラマチックに再現した映像などを交錯させ、天安門事件を丁寧に考察していくドキュメンタリー作品だ。

 国際社会から非難を浴びた天安門事件だが、アメリカでは事件の原因や彼らが反逆した理由については、あまり知られていなかった。そんな中、本作を製作するきっかけとなったのは1冊の本だったそうだ。「天安門事件が起きた年の12月に、今作に登場するリー・ルーに会ったの。彼は当時の体験を語ってくれ、さらに(天安門事件について記された)彼の著書をわたしにくれたの。わたしは、その本の内容に没頭したわ。マイケルとは以前から仕事をしていたから、マイケルに『天安門事件に興味があるか?』と聞いてみたの。幸いにも彼は『うん」と答えてくれたわ」とトルーディは明かし、その後、今作の製作を携わるBBC、ABCが関わり、約5年かけて制作したそうだ。

 事件後、中国経済は大きく発展し、今やアメリカに次ぐ世界第二位の経済大国となった。本作と現在の中国、そしてアメリカの政治を比較し、マイケルはこのように語る。「中国の経済発展は、政治的な活動をすることがどれだけ重要か、良い例になっていると思う。現在のアメリカの政治を見ていると、決して健全ではない。人々は、純粋な政治に興味はなく、お金儲けだけに興味を示している。もちろん、それは(昔から)ずっとそうだったかもしれないが、誰がより多くのお金を稼ぐかではなく、政治的知識と政治的手段の間には、バランスが保たれていなければいけないんだ。今作に登場する(中国の)人々は、人生を捨ててまでも、勇気を持って、より良い世界を求め立ち向かったことは、我々も見つめるべきことだ」

 天安門広場での蜂起に参加した当時の人々の中には、中国政府から逃れて、アメリカに在住している人々が今作にも登場している。「デモ隊に参加していた人々が、いかに犠牲を払って今を過ごしているのかを描くことも重要だった。彼らは天安門事件を自分たちで美化して振り返ることもできるが、今でも中国政府は(彼らに)残酷で、民主主義という点に関して、全く成し遂げられてはいないからね」とマイケルは辛辣な言葉を残した。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

最終更新:6/18(火) 23:02
シネマトゥデイ

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