ここから本文です

パンの「イーストフード・乳化剤不使用」表示が業界の新たな課題に

6/18(火) 12:03配信

日本食糧新聞

2019年の製パン業界は、原材料価格の高騰、人手不足、物流費の高騰など、ここ数年継続している課題に加え、「イーストフード、乳化剤不使用」強調表示という新たな課題に直面している。一方、4月期の輸入小麦政府売渡価格が、2016年10月期以来5期ぶりに引き下げられたことや、2019年1~3月のパン生産数量(食品需給研究センター公表)が、31万2047トンで1.3%増と2018年の減産から復調傾向に転じたこと、さらに2018年7月の値上げ以降、パン価格に上昇傾向がみられるなど明るい話題もある。

記録的な猛暑や値上げが影響

2018年のパン生産数量(食品需給研究センター公表)は、122万0746トンで前年比2.7%減と苦戦した。食パンは、58万4825トンで同2.8減。菓子パンは40万1028トンで同2%減、学給パンは2万4354トンで同2.1%減、その他パンは21万0539トンで同3.3%減となった。

月別では、7月が4.7%減、8月が4.9%減と大幅に減少し、記録的な猛暑を受けた格好だ。さらに、7月に実施した値上げも影響したと推測される。2019年1~3月のパン生産数量は、31万2047トンで1.3%増と復調傾向となった。

食パンは14万8184トンで同1.4%増。菓子パンは10万2662トンで同0.7%減、学校給食パンは6268トンで同2.4%増、その他パンは5万4933トンで同4.9%増。

日本パン工業会の飯島延浩会長は、食パン・菓子パンの包装紙に「イーストフード、乳化剤不使用」などを強調した表示を製パン業界の課題とする考えを5月16日に東京都内で開催した総会後の会見で明らかにした。

飯島会長は、「イーストフード、乳化剤不使用」と強調表示された製品に、「食品添加物としての表示義務を回避する代替物質が使用されている」こと、「量産ラインによる食パン、菓子パン製造でイーストフード、乳化剤の使用は、製パン技術の根幹となる」こと、さらに「イーストフードや乳化剤は安全、健康面で問題があるとの誤認」「イーストフードや乳化剤不使用表示製品は使用製品よりも優位性があるとの事実誤認を与えるおそれ」があり、適切な表示とはいえないと指摘。

現在、同会や日本パン公正取引協議会で「イーストフード、乳化剤不使用」強調表示をやめるために公正競争規約改定作業を進めているが全会員の合意には至っていない。飯島会長は、協議を進め早期に「消費者の自立的・合理的な商品選択に資する、添加物表示のあるべき姿」の実現を目指す考えを強調した。

この問題については、2019年1月から同工業会と日本パン公正取引協議会で「イーストフード、乳化剤不使用」強調表示が行われた経緯と該当食パン・菓子パンに含有する油脂中の乳化成分の分析を実施。その結果、該当するパンに使用されている油脂類は、添加物表示欄に乳化剤としての表示を必要としない、新規技術で開発され、添加物表示を回避しているが、乳化剤は代替物に代替され、該当するパンの生地中には乳化成分が定性・定量されており、イーストフードも代替物だった。

2019年4月に消費者庁が開始した「食品添加物表示制度に関する検討会」でも添加物不使用などの強調表示の是非に関する議論が開始されたことを受け、油脂業界が開発した食品添加物としての義務表示を回避する技術で拡大したことから、日本マーガリン工業会に、油脂業界が開発した新規技術が、「イーストフード、乳化剤不使用」強調表示を保証し担保できるかを問い合わせたところ、「できるものではない」との回答を得た。

この見解を、製パン業界、油脂業界の共通基盤とし、業界内合意実現のために協議し、日本パン公正取引協議会で公正競争規約を変更する。

なお会見で、桐山健一副会長は、「当社(神戸屋)は1994年からイーストフード・乳化剤無添加施策を進め、一貫して、おいしさの観点から無添加を志向してきた。当社は小麦本来のうまみに注目して食感と合わせたおいしさをお客さまに届け、選択肢を増やしていきたい」との考えを示した。

1/3ページ

最終更新:6/18(火) 12:03
日本食糧新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事