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【津川哲夫の私的F1メカチェック】レッドブル・ホンダRB15の複雑な2段分離型アッパーアーム。真の目的はジオメトリーか、空力効果か

6/18(火) 14:32配信

オートスポーツweb

 フロントノーズの中間部を高く上げたハイライズ・モノコックの下部空間は、モノコック床下やポッドサイドへの空気の取り入れに重要な役割を担っている。昨年まではタイヤ周りの空気流は外側へ強引に吹き出していたが、今年のF1はこの箇所が規制され、前方からタイヤを直撃した空気流はホイール内側に向かい、タイヤ周りの乱流域が大きく広がってしまうことになった。

【写真】レッドブル・ホンダが採用してきた2段分離型アッパーアーム。複雑な形状はエアロを重視したためか

 このタイヤ内側とモノコックとの空間は後方への空気流に大きな影響を及ぼす重要な部分だ。そして、そのエリアにはご存知のように何本ものサスペンションアーム類が存在している。これらのアーム類はエアロの視点からは後方への空気流に大きく干渉するので、本来のサスペンション機能だけでなく、今や重要なエアロガジェットにもなっている。

 近年、ハイライズモノコックでサスペンションアームのモノコック側ピボットは上下ともかなり高い位置に設置され、またアップライト・ホイール側でもロワアームはどのチームもフロントアクスルの中心線にまで持ち上げられた。

 そして、アッパーアームの処理については各チームさまざまなアプローチを見せることになった。メルセデスは一昨年からアップライト上部にエクステンションブロックを追加し、ホイールの外へ高く持ち上げる方法を始め、その後、多くのチームがこれを追った。

 しかしフェラーリやレッドブルはコンベンショナル(ありきたり)な形でホイールリム内へ搭載する方法を採用した。アッパーアームが強めの下反角を持つタイプだ。この方法はピボットが表に出ないのでエアロへの干渉を抑え、ブレーキダクト周りの空気流をメルセデスなどのエクステンション組よりも無駄なく処理することができる。

 それでも可能な限り上下アームの距離を広げるため、アッパーピボットはホイールリム内の頂点近くまで持ち上げたい。こうすると通常のフロントレグとバックレグが一体化されているタイプのウィッシュボーンではステアリングの際にバックレグがホイールリムやタイヤと干渉してしまい、本来ならピボットを持ち上げるのは難しい。

 そこで写真のレッドブルRB15はバックレグをフロントレグと分離してバックレグのマウント位置を下げることで解決を試みた。もちろん、ステアするのでピボット軸はフロントレグと共通の1軸だ。

 これはサスペンションのジオメトリーよりもサスペンション剛性の確保と、エアロとの妥協策なのかもしれない。実際には一体型よりもアーム剛性は落ちそうだが、どうせモノコック側のマウントはソリッドマウントでアームエンドのしなりが稼働を受け持っているのだから、大きな問題とはならないはずだ。

 レッドブル・ホンダRB15の2段分離型アッパーアームはエアロへの妥協策と考えるのが、本当のところではないだろうか?

[オートスポーツweb ]

最終更新:6/18(火) 14:36
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