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観光の父、貫いた無事故の願い 岩切章太郎「無尽灯」【あの名作その時代シリーズ】

6/19(水) 12:00配信 有料

西日本新聞

岩切章太郎が昭和初期に植栽を始めたフェニックスは巨木となり、今も観光客を迎える=宮崎市の堀切峠

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は06年9月10日付のものです。

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 宮崎交通(宮崎市)は草創期に手痛い事故を経験した。同社70年史によると、昭和二年十二月二十九日朝、大淀川に掛かる橋を渡っていた同社バスが橋の中程でハンドルを取られて転落。四人の乗客のうち相川俊二さんが即死。運転士と車掌は無事だったが、他に乗客二人が大けがをし、バスは廃車になった。

 若き創業者・岩切章太郎が初めて直面した人身事故だった。会社の資本金が五万円だった時代に岩切は、遺族に五千円の弔慰金を包んだ。年間利益の倍以上にあたる額で、経営も厳しくなり、株主らからは会社の売却を進言されたという。

 経営が傾くほどの償いを決断した岩切は「無尽灯」に当時の思いをこう記している。〈私の心から一日も去らなかったのは、相川さんの兄さんの一言だった。「弟を犬死にさせて下さるな」。大事故を一つの機縁として、自己を修め、日本一の事故のない会社にもり立てることができたら、これこそ相川さんの冥福を祈る第一の道である〉 本文:2,742文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:6/19(水) 12:00
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