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車いす、タクシー運転手が拒否する理由は 海外で感じた「想定外」へのギャップ 当事者の要求はぜいたく?

6/20(木) 7:00配信

withnews

車いすの利用者に対し、交通機関の運転手が乗車を拒否した――。そんなニュースが報じられるたび、感情的な意見が集まります。難しいテーマだからこそ、背景事情をじっくり整理してみたい。そんな思いから、一人の車いすユーザーがエッセーを寄せてくれました。快適な移動環境を求める当事者の願いと、「安全と責任」をてんびんにかけざるを得ない、事業者側の悩み。その溝を埋める方法について考えます。

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振りかざしてきた「正しさ」、海外旅行から省みた

私の名前は、徳永啓太。先天性脳性まひにより、車いすを利用しています。9年前に、就職で愛媛県から上京し、現在31歳です。

学生時代に住んでいた地元と比べて、東京は交通網が発達しています。車を持っていなくても、どこでも行けて便利です。

しかし、朝のラッシュ時や、大事な人との約束を守りたい時などは、時間に追われてしまいがち。

「出来るだけ早く目的地に着きたい」「スムーズに電車やバスに乗りたい」

安全確保を優先するがゆえに、事業者側の乗車対応に時間が掛かった時などに、不満を抱いてしまうことがあります。

時にわがままな言い分でも、いちマイノリティとして声を上げることで、最終的に世の中が変わってくれる――。そんな気持ちから、「自分は正しい」という姿勢で意見を述べてしまうことも。ふと我に返った時、「自分の要求は本当に正しかったのか」と考え込む場面もあります。

昔に比べれば、駅のバリアフリー化が進むなど、交通機関は障害がある人にとって利用しやすくなっています。しかし当事者からすると、「もっと便利に」といった気持ちになるのも事実です。

先日、そんな自分の凝り固まった価値観を変える体験をしました。きっかけは、初めて訪れたタイで「異国の常識」を知ったこと。「安全と責任」を巡る意識の違いを中心に、お話していきたいと思います。

タクシーを使って感じた“人との距離感の違い”

「微笑(ほほえ)みの国」と呼ばれるタイを訪れたのは、今年のゴールデンウイークのこと。私が一目で観光客であると分かったからか、現地の人はとても親切に接してくれました。

道に迷っていると、誰であろうと声をかけてくれます。タクシーを見つけようした時、見ず知らずの人が集まり、手伝ってくれた時は驚きました。

自分で乗り降りしようとして、「I'm fine!(大丈夫です)」と運転手に伝えても、グイグイと手伝ってくれます。こちらの気持ちはおかまいなしでした。(もしかすると「早く降りろ」という意味だったのかもしれませんが……)

では、日本の場合はどうでしょうか。

タクシーを呼び止めると、まず運転手に「何をすればいいでしょうか?」と尋ねられることが多いです。中には、声のかけ方が分からないのか、運転席から出てきてくれたものの、その場で立ち尽くしてしまう方もいます。

ちなみに私の場合、日本式のやり方に慣れているので、グイグイこられるよりも、どう手伝ってほしいか伝えられる方が助かります。

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最終更新:6/20(木) 13:54
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