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50歳になった「ブルーレット」は、なぜ姿を変えても売れているのか

6/19(水) 8:24配信

ITmedia ビジネスオンライン

 「クン、クン、クン。トイレがちょっと臭うなあ」と感じて、芳香剤を購入したことがある人も多いのでは。スーパーやドラッグストアなどの日用品コーナーに足を運ぶと、トイレ用の芳香剤がズラリと並んでいるが、その中に長ーく愛されている商品がある。小林製薬の「ブルーレット」だ。

【画像】トイレの形が変わって、ブルーレットはどうなった?

 ブルーレットの誕生日は、1969年6月10日。50年の歴史を振り返ると、売り上げはほぼ右肩上がりで伸びていて、シェアも高い。直近の数字を見ると、同商品の売り上げは170億円ほどで、トイレタンク用洗浄剤の市場でのシェアは70%を超えているのだ。

 ロングセラーの秘密が気になるところだが、もうひとつ気になることがある。開発の舞台裏である。ブルーレットが誕生した50年前、世間でどんなことがあったのか。アニメ『サザエさん』の放送が始まったり、人類が初めて月面に着陸したり、日本銀行が500円札を発行したり。教科書の歴史に出てきそうな出来事があった年に、どうやって産声を上げたのか。

 なぜ売れ続けているのか、どうやって開発したのか――。この2つの謎を解くために、小林製薬の広報を担当している鄭利花さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

反対の声を押し切って、商品を開発

土肥: とあるサイトの「トイレタンク洗浄剤」売り上げランキングを見ると、ブルーレットの商品がずらーっと並んでいました。カテゴリーを代表するブランドは、いつごろ発売されたのかなあと思って調べてみると、ちょうど50年前の話になるそうで。どういったきっかけで商品を開発することになったのでしょうか?

鄭: 1965年、当社の小林一雄(現・会長)が米国に留学していました。これからは海外に目を向けなければいけないということで、現地の百貨店やスーパーなどに足を運んで、日本にはない製品を見て回っていたんですよね。ある日、友人宅に招かれる機会があって、その家のトイレを見てびっくりしました。

 当時、日本のトイレといえば、「汚い」「暗い」「臭い」を想像する人が多かったはず。水洗トイレはまだまだ普及していなかったので、ネガティブな印象が強かったのではないでしょうか。そんな時代だったにもかかわらず、米国のトイレは違いました。室内にバスタブがあって、洗濯物が干せるスペースがある。さらに、トイレで用を足すと、青い水が流れてきたんですよね。気になった小林はその正体を調べると、青い水を流すことによって、トイレの汚れを除去することが分かってきました。

 帰国後、米国で見た“青い水”を開発することに。当時の小林製薬は大衆薬の卸業がメインだったこともあって、売り上げをコントロールすることが難しくて……。自社で商品を製造し、それを売って、利益を確保する。卸業ではなく、メーカーとしての存在感を示すことができないかという思いが強く、アンメルツヨコヨコという商品を販売していました。とはいえ、売り上げの9割ほどは、卸業が占めていました。

土肥: そんな状況の中で、「“青い水”を開発するぞー!」と宣言したわけですね。社内からはどのような声がありましたか?

鄭: 猛烈に反対されました。卸業がメインだったので、社内からは「開発の実績がない」「販路が確保できない」といった声がありました。また、「トイレ=汚い」といったイメージがあったので、「会社のブランドを毀損するような商品を開発しなくてもいいのでは」といった指摘もありました。

 反対の声ばかりだったのですが、小林も負けてはいません。当時、日本の水洗化率は20%ほどでしたが、いずれこの数字は上昇する。そうなれば、米国のような衛生的なトイレを求める人が増えるはず。このように考え、開発に着手しました。

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最終更新:6/19(水) 13:37
ITmedia ビジネスオンライン

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