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香港デモへの英国の無関心、自由認めないツケは大きい

6/19(水) 13:40配信

The Telegraph

【筆者:Douglas Murray】
 3年前、「雨傘運動」の勢いが徐々に失速する中、私はたまたま香港にいた。

 決して届くことのない支援を期待する香港市民がわずかしかいないのを目にするのは、気がめいった。しかし、ある意味でもっとショックだったのは、香港を訪問してから数週後にフランス、英国、米国の首都で友人たちと交わした会話だ。

 私は香港での状況を友人たちに説明した。香港の書店の関係者らが拉致された話や中国政府が香港への締め付けを強化している話をすると、彼らは眉をひそめて聞き入り、その状況を誰もが嘆いた。しかし、その後には決まってあるコメントが続いた。「でも、中国だからね」

 ワシントンの人々だけが、米政府関係者かどうかに関係なく、抗議活動をしている香港の人々への支援として何ができるのか、そして米国はどうすれば、この小さいながらも重要な存在である、英国の旧植民地で暮らす人々の力になれるのかという疑問を口にした。

 今月、香港で再び抗議活動が広がる中、私はあのときの会話を思い返して考え込んでいた。香港のデモでは、自由と抵抗の象徴として、英国の国旗が振られた。英国で大きな反響を呼んでもよさそうな光景なのに、関心の低さは甚だしい。

 香港の状況から、少なくとも英国人は熟考してみるべきだ。それは、英国が香港の人々にいくらかの責任を負っているからというだけでなく、自分たちにとってそれほど重要ではないこの問題への英国の弱さは、もっと大きな、ある問題に対する弱さを表しているからだ。

 ワシントンには、中国への強硬姿勢を支持する人々もいれば、中国を商売相手としか考えていない人々もいるが、今回の問題自体については激しく議論されている。その理由は、中国の野心が、かつてないほど長期的かつ戦略的な問題だと認識されているからだ。

 一方、英国の政治家たちがこれほど関心を示さない国際問題は、他にあまり例がない。労働党と保守党の議員たちは、ドナルド・トランプ米大統領への個人的な嫌悪感を競って示したがる一方で、中国の習近平国家主席との晩さん会には喜んで出席しようとする。

 もちろん、これには理由がいくつかある。英国左派の一部は今も、中国の初代国家主席・毛沢東が達成したことに称賛以上の感情を抱いている。こうした左派は、現代の中国における資本主義的な面は度を超しているとはいえ、少なくとも根本は正しいと考える傾向にある。一方、右派はここ数年、中国は(民主主義の存在しない資本主義という)統治体制を確立してきており、自分たちとしてはそれを受け入れて対処する方法を見つけるしかないという考えに傾きつつある。

 しかしその下には、ずっと大きな問題がひそんでいる。というのも、その事実を認めれば、英国がかつて実行しただけではなく輸出までした独自の統治体制に問題があるのを認めることになるからだ。つまり、自由民が自由市場で活動するのは人が生きる上で最善の条件だという英国の考えは単なる仮定にすぎない、と認めることになってしまう。これは、ある物事が自分たちには適しているとしても、他の人には適さないとする考えだ。

 こうした考え方をしていると、そのツケはいつか回ってくる。だからこそ、私は3年前に見た、士気をくじかれた香港のデモ参加者たちのことを考え続けている。なぜなら、自由は一部の人間の特権だと考えるような人々は、いずれ、自由というものは実のところ誰にも適さないのではないかという考えを受け入れてしまいかねないからだ。【翻訳編集】AFPBB News

「テレグラフ」とは:
1855年に創刊された「デーリー・テレグラフ」は英国を代表する朝刊紙で、1994年にはそのオンライン版「テレグラフ」を立ち上げました。 「UK Consumer Website of the Year」、「Digital Publisher of the Year」、「National Newspaper of the Year」、「Columnist of the Year」など、多くの受賞歴があります。

最終更新:6/19(水) 15:16
The Telegraph

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