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コンビニはなぜ「定価販売」にこだわってきたのか 売れ残りの実質値下げ開始

6/19(水) 18:20配信

THE PAGE

 コンビニ大手が、一部の商品に対してポイントを使って代金を還元する試みをスタートさせています。コンビニは、頑なに定価販売にこだわってきた業界ですが、一連の取り組みが本格的に普及した場合には、コンビニ・ビジネスの歴史的な転換点となりそうです。そもそもコンビニはなぜ定価販売にこだわってきたのでしょうか。

セブンとローソンで5%のポイント還元

 最大手のセブン-イレブンは、販売期限が近づいた弁当やおにぎりなどの購入者に対し、自社の電子マネー「nanaco(ナナコ)」を使って実質5%分のポイントを還元します。ローソンも、同様に販売期限の迫った弁当などに対して、5%のポイントを付与する予定です。

 販売期限が近づいた商品の値引き販売は、一般的に「見切り販売」と呼ばれており、タテマエ上は、コンビニ各社は加盟店に対して見切り販売について制限していません。しかしながら、現実には運営会社各社はあくまで定価販売を原則としており、多くの加盟店はこの暗黙の了解に従っていました。今回、実施されるポイント還元の原資は加盟店ではなく本部が負担しますから、従来と比較すると極めて大きな方針転換といえそうです。

多店舗展開でも利益を上げる構造 加盟店は厳しい状況に

 コンビニ各社が定価販売にこだわってきたのは、コンビニという業界が出来上がった経緯と密接に関係しています。1970年代、米国から巨大店舗を活用し破格の安値で商品を提供する大型スーパーのビジネスモデルが輸入され、ダイエーやジャスコ(現イオン)など多くのスーパーが誕生しました。しかし地域の商店を保護するため大規模小売店舗法(いわゆる大店法)が成立し、大型店の出店が大幅に制限されてしまいました。

 スーパー各社は法律の施行後も大型店舗による安値販売にこだわり続けましたが、こうした手法に見切りを付け、コンビニという業態に舵をきったのが、現セブン&アイ・ホールディングスです。コンビニは小さな店舗を多数展開するという出店戦略となりますから、1店舗当たりの効率がスーパーと比較すると大幅に低くなります。このため運営会社が利益を上げるためには、商品を高く売り、フランチャイズ(FC)方式を導入することで、コストを切り詰めなければなりません。これが今のコンビニ業界の基本的な経営スタイルとなったわけです。

 こうした手法によって、大店法の規制があるにもかかわらず、コンビニは地域の商店を次々駆逐し大きな成長を遂げましたが、コンビニ運営会社の発展は、定価での購入を強いられた消費者と、厳しい経営環境に置かれた加盟店の負担によって成り立ってきたともいえます。今回、コンビニが事実上、定価販売を取りやめたことは、極めて大きな変化といってよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/19(水) 18:20
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